10/05/10

オイディプス王

そこにある悪夢

「オイディプス王」のコンセプトに悪夢というキーワードがあります。

近頃私の悪夢といえば、受け身稽古をしている斉木先輩です。
基礎訓練として全員で受け身やマット運動をしていますが、斉木さんが受け身で床に身体を打ち付けるときの音とそれに伴う振動が尋常じゃありません。

ブタ殺しの威名を誇る先輩の荒技に喜んでいる劇団員たちの反応が信じられない。
調子にのってどんどん激しくなっていくではないか。

床が抜ける…
壁が崩壊する…

隅で人知れず強ばっていく私の身体。

あれは受け身じゃない、肉弾攻撃だ、
思っているのは私だけなのでしょうか。

稽古場は戦場です。

越谷真美

10/05/09

オイディプス王

行きつ戻りつ

この日の昼稽古は役者のみの自主稽古。
軽く準備運動をした後、ルパムシーン(動きで見せるシーン)の確認と、決められるシーンの仮構成を行いました。

山の手のオイディプス公演をご覧になった方はご存知かと思いますが、ルパムシーンも作品の見所の一つ。
私は映像でしか観た事ありませんが、男性陣のキレの良さや、女性陣の艶かしさにドキッとしました。
しかし映像だと画面が暗く正直見えずらい。ようやく動きの全貌が明らかになりました。

これがまぁ〜想像以上に細かい。
一見、起き上がるという単純な動作一つ取ってみても複雑な身体操作が…
案の上、一度観ただけでは真似できませんでした。 上手くいかない若手に対し先輩方が
「最初に首から吊られろ…」
「まず足さばきを処理して…」
「螺旋を利用すれば簡単に…」
飛びかうアドバイスの嵐と、同時に
「初演の時〇〇はこうしていたかも…」
「え、私は〇〇だった…」
記憶の網を手繰りよせる作業も同時進行。一瞬、ここは魚市場か、年末の上野かと思われる活気…再演は再演で行きつ戻りつの作業が大事なのだと感じました。

浦浜亜由子

10/05/07

オイディプス王

メタファー

メタファー〔metaphor〕
?《言・文》隠喩(いんゆ)、暗喩、比喩技法の1つ。
?《心・哲》(夢や人の行動全般などに対する)隠喩、圧縮。
 ※メタフォールとも。
フロイトの精神分析に基づくJ.ラカンの用語。

最近、何かにつけて頭に浮かぶ言葉です。
なんかカッコいいので。
自分が発言をする時は恥ずかしくて言えないので稽古場日誌で思う存分使います。

つまり、簡単に解釈してしまうと、演劇として上演されている舞台上のものすべてにその物以外のたくさんの意味が込められている。ということでしょうか。(もちろん演劇以外でも)

ウラを読めってことかしらん。
オイディプスのセットも、衣装も、照明も、音響も。
男も、女も、台詞も、動きも。
もしかしたら、見たまんまの意味のモノは1つもないかも知れません。

今日の安田氏の「発声がうすっぺらい」という駄目出しは何のメタファーか。
最近女優たちがジャージを2枚重ね履きするのは何のメタファーか。
穂高さんが毎日食べる豆腐は何のメタファーか・・・。
あれも?じゃ、これも?
あぁ、メタファーメタファー!
世界はメタファーであふれています。

我々の仕掛けた謎(メタファー)をいくつ読み取れるか、仕掛けた以上に読み取られちゃったりして(?)。
その辺も山の手事情社の舞台を見る楽しみの1つです。

9月には今年のルーマニア公演「オイディプス王」、昨年ルーマニアでとても注目を集めた「タイタスアンドロニカス」の2本立て凱旋公演が待ち受けています。どちらもメタファー満載です。
謎解きに、ぜひいらしてください。

安部みはる