10/06/02

オイディプス王

ペーチ1日目

ルーマニアのお隣、ハンガリーのペーチ市へ向かうべく、我々はバスで移動しました。
シビウ市を抜けると、行けども行けども田園風景。ハイジとペーターの世界が広がっていました。数日前の土砂降りで高速道路が閉鎖されているとか。下道を永遠に走り続けます。
やっとたどり着いた国境で、検問。EU加盟国同士の行き来ですから、それほど問題は起こらないだろうとの予想で、軽く考えておりましたが、1時間以上も足止めを食らいます。
東欧では日本人はおろかアジア系の人々は、ほとんどみかけません。それゆえか、やたらと厳しい顔つきで、我々を見ています。結局、何事もなく無事に通過。ハンガリーへと踏み込みました。

さらにそこから下道を走り続け、やっとペーチ市へ、合計10時間以上かかり到着。移動疲れで早くベットに入って眠りたいと皆が思っている中、ホテルのチェックインなどを済ませます。いわゆる「宿帳」のようなものを、どこのホテルに行っても記入するのですが、せいぜい名前と住所とパスポートナンバー、生年月日くらいの情報しか書き込む欄はありません。しかし、ハンガリーでは、「母親の旧姓」を書く欄があります。!?!?!?!? これは割りと一般的なことらしいです。ハンガリーまで来て、何故か個々の家庭の事情などが少し明らかになったり、10年以上も一緒にいる劇団員の母親の名前を知る機会となり、ホテルのロビーは、軽い騒ぎとなりました。

翌日。さっそく朝9時から劇場へと入り、仕込みが始まります。
実はここまで、日本人的には不安要素がたくさんあったペーチフェスチバルとのやり取り。どんなアクシデントが待っているかと思いましたが、拍子抜けするくらい順調です。夜には、役者の段取り確認や、シーンを頭から細かく見ていく稽古もでき、明日の本番に備えます。

10/05/31

オイディプス王

シビウ本番日とその翌日

朝から劇場入り。そしてその日のうちに本番。
時間が限られた中で、どんどん舞台セットが組まれていきます。
現地のスタッフがとても協力的なおかげで、概ね順調に仕込みが進みました。
予定より15分押しで、最後のリハーサル・ゲネプロを行います。

フェスティバル運営側から、19時開演を、19時半ころに開演して欲しいとの連絡事項が入ります。フェスティバルですから、前後の公演の状況によっては、こんなことも、しょっちゅうあります。

実際は、19時20分頃スタート。客席は昨年よりマナーが良いようです。(昨年は出入りもフラッシュも多くて・・・)観客席は、子供からおじいちゃんまで、様々な人が詰め掛けています。昨年の『タイタス・アンドロニカス』を見て、今年も見にいらした方も多いとか。カーテンコールは、4回もありました。
言うまでもなく、終わったあとは、「ドッ」っという音が本当に聞こえるほど、体から何かが抜け落ちたような状態です。

さて。その翌日。
安田さんの記者会見が行われます。フェスティバルの最高責任者・キリアック氏も同席。話題はやはり、身体の使い方や考え方に、みなさん興味があるようです。
その後、急遽入ったルーマニア国営放送のインタビューと、シンポジウムに出席。
シンポジウムのゲストは、安田さんオンリー.。
話題は山の手事情社だらけ。おそらく、日替わりで様々な演出家を呼び、こういうことが毎日行われていますから、わたしらだけが特別ではないんですけれど、やはり鼻高々です。

役者は、久しぶりのオフ。みんな思い思いの過ごした方をしたようです。

名残惜しいですが、明日シビウを離れて、ハンガリーへ向かいます。

10/05/29

オイディプス王

シビウ2日目。

小笠原です。
今日は、1日中稽古。最後の仕上げにかかります。
嫌でも緊張が増してきました。

役者は、稽古場に1日中こもりきり。
その稽古場。全部水色。壁も床もカーテンも。
部屋のコーディネートに笑っている場合ではなく、ひたすら稽古。

一方、スタッフは、必要に応じて各々の動きを展開。
舞台監督は、劇場のたたき場へ行き、ビール片手に、我々のセットが作られる過程を眺めています。
なにしろ、我々のセットなのに、こちらに作らせてくれないんですから。
そのため、ビールという、おきらくな態度と見せるための小道具を片手に、
ゆる〜い態度で眺めては、
スキを狙って手を出せるチャンスを待っていました。

一方、今回スタッフとして同行している劇団員の永里子は、美術で使うフェイクファーの敷物作り。ひたすらミシンで縫い作業。
こちらも劇場の衣装部屋に押しかけ、得意の笑顔と甘い声ですべてをカバー。
その笑顔に食らいついた、衣装部屋のオッサンとオバチャンがフォローしてくれ、最後には日本語も少し覚えております。

夕方には、スタッフと安田さんを交えて、明日の本番に向けて細かい動きを相談。
昨年と同じ劇場である強みを生かし、細かい点まで話し合います。

さて。明日は本番。
メイン会場の「ラドゥ・スタンカ劇場」へ乗り込みます。