08/09/23
漬かっているからこそ
どうも、安田です。
演劇だらけの毎日、演劇三昧の毎年。
演劇を始めた大学生のころ、
そりゃ、演劇を続けたいとは
考えていましたが、
ここまで漬かるとは。
というより、演劇に漬かるということが、
どういうことなのか、
当時はわかっていなかったと思います。
ロミオもジュリエットもそうでしょう。
互いに出会うまでは、
恋愛に漬かるということが、
相手の面影に追われるということが、
どういうことなのか
想像だにしていなかったことでしょう。
今回の芝居では、
その「漬かっている」感覚を、
漬かっている側から描きたいと思っています。
小説にも映画にもできない、
演劇にしかできないやり方があるはずです。
そろそろ本番も近づいてきたことですし、
内容をちょこっとご紹介しておきましょう。
一本の原作で三本立てってどういうことなのか。
今回は、今までの山の手事情社の三本立てように、
一日一本ずつ上演するのではなく、
一回の公演で三本を連続して
ご覧いただけるようにしました。
大体2時間くらいかけて、
三本見られるように考えています。
どんな三本かというと、
★ 物語(あらすじ)を詳しく説明する一本目。
題名は知っていても、細かい内容は知らなかった
お客様にも、原作の複雑で深い世界を
お伝えします。
★ 原作から着想し、発想を広げ、
原作にないシーンを見せる二本目。
お客様には歩きながら、
さまざまなシーンのブースを巡っていただきます。
★ 原作を「詩的」なイメージでつづる三本目。
原作のセリフを生かしつつ、
「恋愛」の誕生から消滅までをテーマに、
原作とはちがった流れで再構成します。
ヨーロッパで流行っているポスト・ドラマ形式の
演劇です。
会場となる「にしすがも創造舎」は
かつて中学校の体育館だった場所です。
その広い会場に複数の舞台をしつらえ、
一本ごとにお客様に移動しながら
ご覧いただきます。
衣裳も舞台美術も違う三本になります。
おそらくこれだけの規模で
『ロミオとジュリエット』の公演をすることは、
日本では稀だと思われますし、
山の手事情社としても今後ないのではないかと
思います。
昨年視察したルーマニアの
シビウ演劇祭というところで見たお芝居が、
ヒントの一つになっています。
演劇や、シェイクスピアや、
「ロミオとジュリエット」にご興味のある方には
是非足を運んでいただきたいと思っています。
人それぞれ、さまざまなものに漬かって、
日々を過ごしているはずです。
家庭や仕事、趣味の場合もあるでしょう。
そしてそれに飽きてしまったり、疲れたり、
時には疑問に思うこともあると思います。
そういう時こそ演劇です。
何かに夢中、何かに追われていることは、
巻き込まれているとなかなかわからないこと
ですが、はたから見ればとても美しいもの。
輝いて見えるものです。
お客様がご自分を改めて愛せる
ようになる公演にしたいと思います。
安田雅弘