稽古場日誌
大田区にある大森第二中学校・映画鑑賞部の生徒さん対象に、演劇ワークショップをおこなってきました。メイン講師は演出部の小笠原くみこ、アシスタントとして俳優部の中川佐織と私、髙坂祥平も同行しました。ちなみに私、大学生や高校生対象のワークショップはやらせていただいたことはあるのですが、中学生は初めてで、今回はある意味挑戦でした!
1チーム2~3人に分かれて、寸劇を創っている時の話です。まず、寸劇の題材を模索するために「最近、楽しかった事は?」と、聞いてみました。
「・・・・・・」
「・・・え? 無いの?」と、更に突っ込んでみました。
「・・・・・・・・・・」
これが最初のやり取りです。真面目に色々考えて言おうとしている感じはあるんです。ただ、自分のことを喋るのがとても苦手そうでした。徐々に口を開いてくれ話を進めていくと、「テスト」と「告白」というテーマにぶつかりました。大人である我々から見れば、遠くて懐かしいという感じですが、中学生にはビビッドに感じられる良いキーワードです!
ある男子に「女の子に告白してみて」というオーダーをすると、顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうにしながらも、必死に考え演じようとしている姿がありました。また、別の男子に「友達のテストの点数の低さをバカにしながら爆笑し続けて」という難しいオーダーをしたのにも関わらず、物凄く真っ直ぐにチャレンジしてくれました。思わず、彼らの心意気に感動してしまいました。周りで見ていた生徒さんも、そのチャレンジした姿に、腹を抱えて笑ったり、悔しそうにしたりと、盛り上がりました。
楽しい事や辛い事、心踊る行事や恥ずかしい事など、中学の三年間でしか味わえない面白い瞬間がたくさんあるはずです。彼らが今直面している事がどんな事なのか私自身知りたかったですし、同時に彼らにとって、日々のちょっとした当たり前の出来事の中にどんな気持ちや人間関係があるのか、実感できる体験だったのではないでしょうか。
私にとっては日々こういう稽古に取り組んでいるので、ある意味当たり前だったこれらの作業は、彼らの取り組みを通して、演劇だからこそできるんだなと改めて感じました。そして、演技の本質は生きる力そのものなんじゃないか、と、大真面目な思いに至りました。
私にとって大事なことを思い出させてくれて、ありがとうございました。
次にまた会えるのを心から楽しみにしています。
髙坂祥平