稽古場日誌

methods&過妄女 松永 明子 2019/06/22

集団芸のススメ

《インヂアンジョー》(※)稽古の反省会でのこと。
劇団員たちにゲスト出演者の清水宏さんがアドバイスをくださった。

「今の集中は違うと思います。それは一生懸命やっています、という説明のための集中です。」

「僕が指示した以上のことを、俳優の意地で、もっとすごいものにしてほしい。それが見たいんです。」

穏やかでまっすぐな言葉だった。

わたしたちは皆、頭を抱えていた。いつも頼もしい先輩たちまでもだ。けれどわたしは、このままでは終わらないだろう、と感じた。

わたしにとってベテランの先輩たちは凄い存在だ。その人たちの更に先輩がいて、「頼む、任せた」と言っている。一体どんなショーになるのか。期待しないわけがない。

この任せる、任されるという関係、とても素敵だ。

わたし自身も課題だらけだ。

イチイチいろんなことが鈍くてイライラする。動きのキレは悪いし、人付き合いが下手なので、先輩がやたら怖くてネタ出しでアイディアが出てこない。即興の演技も慌ててしまい鮮やかさに欠ける。

もっとギラギラしなくてはならない。何がしたいんだろう、何が見たいんだろう、どう動きたいんだろう。自分の鈍さカッコ悪さに幻滅する。

けれど不思議なもので、稽古を続けていくうちに、数ヶ月前は萎縮して先輩に意見が言えなかったのが、最近は少しは言えるようになってきた。わかってきたのだと思う。どれだけすごい先輩でも、助けやアイディアを求めている。お互いが刺激しあわなければ。1人でできることには限りがあるのだ。

これから山の手事情社の公演をご覧になるお客さまには是非ご注目いただきたい。山の手事情社の集団芸を。一人一人の技術や芸が優れているのはもちろん、その人たちが集まったときの大きな何かを感じていただきたい。

『methods』を観て人間ってすごいんだなぁ、と感動し、人間っておかしいなぁ、と笑い、劇団のエネルギーに打ちひしがれていただければ嬉しい。

 

※《インヂアンジョー》…「強烈な妄想に取り憑かれた演出家が、ムチャクチャな演出を劇団員に指示し、ムチャクチャなシーンを作る」という稽古。詳しくは主宰・安田の日誌「『methods』って」をご覧いただきたい。
http://www.yamanote-j.org/journal/19727.html

松永明子

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劇団山の手事情社 創立35周年記念公演
『methods』2019年6月21日(金)~24日(月)
『過妄女』2019年6月26日(水)~30日(日)
会場=下北沢 ザ・スズナリ

詳細は こちら をご覧ください。

『methods』&『過妄女』

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