稽古場日誌
研修生の修了公演ほど毎ステージの出来が全く違う舞台もなかなかないのではないかと思う。
全てのシーンがうまく流れ、観客も温かく何をやっても反応が返ってきて、研修生も今まで見たことない素晴らしい演技をして見所満載! 感動の嵐の奇跡のような回。
逆に、
何をやっても観客は離れていき、それを感じた研修生は焦ってなんとか取り戻そうとするがかえって空回り。そうなると更に観客の冷やかな視線を受け出演者達もどんどん縮こまる。
観客も何を見てよいのかわからない完全に死んだ空間。
正に地獄のような回。
私は過去に三回研修生公演の演出担当をやったが、三回ともそのような公演日があった。
地獄の回は本当に恐ろしい。
こちらもいたたまれず、客席から逃げ出したくなる。
演劇の恐ろしさを痛感する。
とにかく油断大敵!
変な風に調子に乗ったり、これで良いんだー
と思ったちょっとしたすきに演劇の神様の悪戯が!
するとお客様の視線に負けて地獄の回に突入します。
と、まぁこんな事書いてしまいましたが研修生の皆さん恐れないで下さい。
どのステージでも目指している世界を見失わないよう、妥協せずやれば、自分でもビックリする程自由になれて感じた事のない気持ちのいい瞬間が訪れるはずです。
出演者も観客も本当に素晴らしい感覚に出会えるはず!
最高に気持ちの良い〈奇跡の海〉は目の前。
深く潜ったり、ぷかぷか浮かんだり、自由に泳ぎ回って最高のダイバーになって下さい。
山口笑美