稽古場日誌
渡辺可奈子は顔がお月様にそっくりです。絵本の挿絵とかに出てくるお月様。
活発だし頭もいいし、よく考えたら月に似ているわけはないのだけれど、僕の中でそういう顔のイメージが出来上がってしまっています。そんなことを言っても彼女の紹介にはならないんですが、一応そこは指摘しておかないと。
渡辺可奈子について何を書こうかと考えていたら、入団してだいぶたつのにまだほとんど共演したことがないということに気がつきました。同じ芝居には出ているけど同じシーンには出てないというか、セリフをかけあったことがないというか、たぶん『デカメロン・デッラ・コロナ』という芝居で、鷹に見立てた小道具の折り畳み傘を舞台上で手渡しただけだと思います。
だからあまり個人的な情報はないのですが、その芝居での彼女は一瞬の出番でしたが、とても印象的に仕上げてました。
先日若手の稽古をのぞかせてもらったときも、担当シーンの演出として精力的にダメをだして、言葉で自分のイメージを伝えながらどんどん芝居を組み立てていました。よくしゃべるのでそばで見ていた僕が口をはさめないほど。
たぶん自分の演技を作る力と、人の演技を指摘する力とのバランスがいいんだろうなあと思います。僕が言うのもあれですが、結構ポテンシャルの高い、今後が大いに期待できる俳優です。
そんな渡辺可奈子が『夏の夜の夢』でどんな活躍をみせるか楽しみです。王様なのか、妖精なのか、職人たちなのか、ハーミアやヘレナなのか……。
彼女自身あまりイメージを限定しないキャラなので、かえってどんな役をやってもうまくやれそうな気がします。かわいい役も意地悪な役も色っぽい役も身分の高い役や低い役もどれもイメージ出来ます。
顔がお月様だからかな……
山本芳郎
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若手公演『夏の夜の夢』
日程=2024年7月27日(土)~8月4日(日)
会場=山の手事情社アトリエ
6月5日(水)予約受付開始。
詳細は こちら をご覧ください。