稽古場日誌

葵上 山本 芳郎 2026/03/01

最後の日誌

今稽古場日誌を書いています。
今日締め切りだから追い詰められて書いているのです、もっと芝居作りのこと考えたいのに。
この日誌は劇団の公式ブログみたいなもので、毎回公演のたびに劇団員が一人ずつ書いていくのだけど、これがほんとに負担なのです。
文字通り毎日の稽古をレポートする稽古場日誌ならいいのですが、なぜかみんな長大な文章を書くのです。テーマに沿った作品論や登場人物の分析、自身のくだらないエピソードや武勇伝、舞台への意気込みやらなにやら……。

よくみんなこんな長い文章を書けるものだと感心するのですが、そんな僕も過去のものを見返してみたら、まあそれなりにしっかりとした文章を書いていたりします。
しかし毎回は無理です、文筆家じゃあるまいし。なかなか書くことが思いつかない。
いつもひねり出しているのです。
しかも今回の順番はなぜか僕が最後、つまり休止前最後の本公演の最後の稽古場日誌を書かねばならないのです。
当然ハードルは高いです、でも締め切りに間に合わないのであきらめることにしました。

さて、まもなく本番です、小さな劇場でやります。
ささやかな芝居です。
ささやかだけど、大きな芝居です。
大きな芝居というのは、大きな問題を描いている作品だということです。
大きな問題というのは、人間にとって普遍的で簡単に解決できない問題ということです。
たとえば生き死にのこと、愛や信仰といった心のこと、戦争とか憎しみ合い、運命に翻弄される姿など。そういったどうにもならないものに苦しみながら生きている人間を描いたもの、つまり古典です。

今回の古典は「源氏物語」、どうにもならない愛に執着し嫉妬に苦しむ人間の業を独特の距離感で描こうとしています。
あと数日、出演者一同、本番までもがきます。
まるで小さな劇場に記した日誌くらいのささやかなものとしてご覧いただければ幸いです。

山本芳郎

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劇団 山の手事情社 公演『葵上』
日程=2026年3月3日(火)~8日(日)
会場=小劇場B1

詳細は こちら をご覧ください。

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