稽古場日誌

ニュージェネレーション(体験談)研修生 2011/03/31

年間ワークショップ参加者の体験談/水田菜津美

研修生として送った一年間のなかで、
一番印象に残っている言葉が
なぜか一番腹が立つ研修生仲間の言葉。

「菜津美が一番怖かったよ」

そいつとは色々ありました。
「そいつvs他の研修生!」みたいなこともありました。
話し合いでは、めっちゃ怒る人もいて、きっついことを言う人もいて、そんな中で自分は言いたいことを淡々と二言三言言ったくらい。
その話し合い後、初めてそいつが稽古場に来た時も、とくになんにも言わず、無表情。
ところが、研修生最後の山場、修了公演の大部分をそいつと組むことになり、なんでやねん! え、もしかして研修生のなかでこいつに一番近いとか思われてる? うわーもやもやする!! と思ったこともあったが、基本淡々と無表情。
でも、修了公演終了後の打ち上げで、そいつに言われた。

「話し合いの後、稽古場に最初に行ったとき、菜津美が一番怖かった。」

「…まじで?」

「般若みたいな顔してたよ」

「………!?」

え!? 自分めっちゃ無表情してたつもりだったんですけど!?
もっと怒ってた人ほかにいたよね? きっついこと言ってた人いたよね?
確かに、怒り指数は人生最高潮を記録しつづけてましたけど!
人に対してこんなに怒ることが出来るんだ、って自分でびっくりしてましたけど!(よく考えたらすんごい怒ってるじゃん…)
それでも、とくに何も言わず、能面かぶってたんですけど!
けど…そっか、なぁんだ、本音ってバレるんだ。
妙にそんなことに納得した。

稽古場でむき出しになっていく個々の本性。
本性がぶつかり合って生まれるなにか。
そんな中で言われ続けた、「もっとやればいいのに…」
なかなか脱げないつもりで、実は必至で死守してた自分の皮がシースルーだったなんて…馬鹿か自分。

一番腹立つやつの一言が、自分の研修生としての一年を表わす。

なぁんかなあ…

けど、濃くて、濃すぎて、濃厚すぎて、未だに思い返しては、消化中の山の手研修生としての一年間、今はそんなことを思い出したりする。

やっぱり、なぁんかなあ!

2010年度研修生 水田 菜津美

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