稽古場日誌

ニュージェネレーション(体験談)研修生 2010/03/31

年間ワークショップ参加者の体験談/高橋真人

修了公演『春琴しよう』の一場面「20代と30代の闘争」で演出の岩淵さんがしばしば「突然の嵐が舞台上に吹き荒れるように」という言葉で僕らにイメージを伝えてくれました。
研修生として過ごした一年間を振り返った時、その言葉が脳裏に浮かびます。
何より苦労させられたのは、修了公演が恋愛に纏わる物語だったことです。
ちゃんとした恋愛なんてしたことのない自分の役が「告白」をする人。無茶だって! 逆ギレしていたのを思い出します。
厳しい稽古のなかで僕の心は暴風のように壁を吹き飛ばされ、傷をほじくり出された挙句、見たくもない自分と向き合ってきました。
しかし、そのおかげで最後には裸の自分として舞台に立ち、届くはずの無い「告白」を命がけですることが出来たと思います。
役者としても、一個の人間としても、かけがえの無い瞬間でした。

2009年度研修生 高橋 真人

稽古場日誌一覧へ