稽古場日誌
オイディプス@Tokyo 水寄 真弓 2016/12/20
作中「父を殺し、母と交わり子をなす」とオイディプスが授けられる神託は、ただの神話なのだろうか。現代の私たちも実は依然として強固な神託に縛られているのではないか。劇団員が自分にとっての神託を語ります。
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トゥルル・・トゥルル・・
「もしもし」
「◯◯さんのお宅ですか?」
「はい」
「◯◯さんいらっしゃいますか?」
「私です」
「こんにちは。
実は◯◯さんを占ったところ結婚運が薄いです。
今、印鑑を作ると運気が上がりますよ」
「いくらですか?」
「象牙なので2万円です」
「いりません」
私が小学6年生の時だった。
多少端折っているが、本当にこんな電話がかかってきた。
その時は
「20歳過ぎれば結婚できるだろ」
と思っていた。
変な電話って思っていた。
ところが
あの人の言ったことが真実だったとは。
オイディプスと同じ様に
神託が降りてから随分経って
私はその事実を受け入れることとなった。
現代の神託は、それが神託であるかどうかが
わかりにくい。
今、私には”独り”という言葉が纏わりついている。
きっとこの先もずっと
この言葉は纏わりつくだろう。
水寄真弓
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若手公演「オイディプス@Tokyo」
2017年2月23日(木)~26日(日)
すみだパークスタジオ倉
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