稽古場日誌
「色んな世代でえんげきワークショップ」、19名の参加者のみなさんと毎回鬼ごっこや簡単なゲームをしたり、寸劇を作ったり、それを見たりしながらワイワイと行いました。
劇団山の手事情社のワークショップは俳優を志す若者や社会人を対象としたものが多いのですが、色んな世代の方々を対象としたワークショップは、劇団として今回が初の試みです。下は中学生から上は70代という本当に色んな世代の方々が集まりました。
普段あまり触れ合えない人たちと、演劇の要素を使ってコミュニケーションをすることで、日常生活では味わえない刺激を受けていただこう、というのが今回行ったワークショップです。
ワークショップの中で《歌合戦》というメニューを行いました。
《歌合戦》とは、まずペアを組み、その二人でなんでもいいから空で歌える歌を決めてもらいます。その歌をペア対ペアで同時に歌い合い、インパクトを競うゲームです。
9組のペアによるトーナメント形式。世代の違うペアは果たしてどんな歌を選ぶのか、とても興味津々でした。
出てきた曲は、ドラえもんの歌やもののけ姫などなど。「君が代」とか出てくるかと思いましたが、意外と出てきませんでした。
アニメ強し!
こういう曲って世代問わず、覚えようとして覚えた曲ではなく、知らず知らずの間に覚えた曲ですよね。なんかよく考えるとコワいですが、イメージの共有には持ってこいなんだなぁと思いました。特にジブリなどは相当日本人の奥深いところまで入り込んでいるんだなと。
女性の同世代ペアだと山本リンダ、ピンクレディーなども出てきました。
青春時代に流行ったものは、やっぱり染みついているんですね。
そしてその歌を、体を使って歌詞の内容や歌っている今の自分の気持ちを表現しながら歌うペアもいれば、歌に重きをおいて、コブシを利かせた熱唱で勝負するペアもいました。
決勝戦では、男性ペアのドラえもんの歌と、女性ペアの山本リンダの「こまっちゃうナ」がぶつかり合いました。
見ていたほかの参加者の方々も応援に力が入ります。なぜかみなさん、山本リンダを応援してました。 山本リンダ贔屓がすごくて僕は見ていてとても楽しかったです。やっぱりリンダ様には魅了されてしまうんでしょう。
どちらのチームの人たちも歌っている姿を見ていると、その人の幼少時代や青春時代の雰囲気がぼんやり伝わってきて、「この人は元気に外で遊びまわってたな」とか「この人はふざけるのが好きだったんじゃないか」みたいなことが想像できて、それも面白かったです。
おそらく参加者のみなさんは日常では体験できないことを求めて、えんげきワークショップに参加したのだと思います。えんげき経験の面白さってそこにあって、でもいざやるってなると、飛び込んで山本リンダを歌いちぎる方もいれば、戸惑いながらも一生懸命やっている方もいる。
どちらにしても、こういうふうに取り組んでいる姿はおそらく、普段の生活で見せようとはしていないはずで、客観的に見ててもとても楽しめるんです。
ともあれとても盛り上がり、全日程を終了しました。
こういうみなさんの姿をもっと見ていたかったです。
またの機会を楽しみにしています。
谷 洋介