稽古場日誌

オイディプス@Tokyo 髙橋 真理 2017/01/27

男らしさ

作中「父を殺し、母と交わり子をなす」とオイディプスが授けられる神託は、ただの神話なのだろうか。現代の私たちも実は依然として強固な神託に縛られているのではないか。劇団員が自分にとっての神託を語ります。
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僕は自身を縛りつけているものはなにか、と考えた時、浮かんだものはこの日誌のタイトルとなっている『 男らしさ 』という言葉である。

物心ついた頃から僕は、映画好きな父の横でよく一緒に映画を観ていた。
観ていた映画の多くは洋画であり、戦争映画や凄腕スパイが1人で組織を潰す、みたいな所謂アクション映画である。
アメリカの“タフガイ”達が恋人のために、祖国のために命がけで戦う姿に、小僧だった僕は当然憧れたし、“男”とはこうあるべきだ、という、理想が僕の中に芽生えた。

それから十数年経った今、あの“タフガイ”達のようになれているかというと、まだなれていない、というか全くなれていない。
そもそもなりたいとも思っていないのかもしれないが、男としての自分の在り方を考えるときにチラチラと脳内にあの“タフガイ”達の顔が浮かんできてしまう。
やっぱり男は筋肉ないとだめだよな! とか、笑顔はなるべく見せない方が男らしいよな! とか、男はつねに強気でいないとな! とか所々で僕に思い込ませる。

そもそも男らしさってなんだよ。

この神託のように投げかけられる思い込みに抗うのであれば、僕自身が男らしさについて、まずは自分なりの答えを用意しなければ決して抗えない。

そんな答えはあるのだろうか…。

でもその答えが見つかったとき、僕は、オイディプスが達成できなかった神託への抗い、みたいなことができるのかもしれない。

髙橋真理

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若手公演「オイディプス@Tokyo」
2017年2月23日(木)~26日(日)
すみだパークスタジオ倉
公演情報はこちら

Oedipus@Tokyo

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