稽古場日誌

ワークショップ外部活動 武藤 知佳 2017/08/25

大田区小学校 演劇ワークショップ リポート

 今年も大田区内の小学校で、夏休み中に演劇教室を3つの学校で行いました。今年で4回目という学校もあり、参加者が「前にも参加したよ!」と声をかけてくれることも。とてもうれしい再会の瞬間です。

 まず準備体操をした後に、“グループで「絵」をつくる”や“プレゼントゲーム”を行いました。
 “グループで「絵」をつくる”では4~5人程のグループに分かれて出されたお題を短い時間でグループの全員で表現するというものです。例えば“ひまわり”というお題。お題が発表されると一斉に各グループでの話し合いが始まります。「茎になる人が要るよね」「花びらってこんな感じじゃない?」。言葉だけではなく、身体も動かしながら、グループでイメージを共有していきます。あるグループは花の中心の種ができるところを人の顔で表現したり、またあるグループは花びらを千手観音のようにみんなの手を使って表現したり。出されたお題はひとつのですが、それぞれ個性豊かな“ひまわり”が完成しました。
 “プレゼントゲーム”は2人組みになり、プレゼントを渡す人、受け取る人を決めます。プレゼントを渡す人は何をプレゼントするかを決め、実際にそれを想像し、そのプレゼントに言葉を添えて受け取る人にプレゼントします。“本”“金魚の入った水槽”“鳥”“靴”などなどいろいろなプレゼントがあり、中には“笑顔”のプレゼントというユニークなものもありました。セリフやジェスチャーに各々工夫がされていて、ワクワクする時間でした。

 そして、ワークショップのメインの取組みは《ショートストーリーズ》(日常の出来事を元にした寸劇)です。5分前後の短い劇をつくります。テーマは各学校で異なり、「夏休みに起きた不思議な出来事」「大人に言いたいこと/言いたかったけど、言えなかったこと」「身体がグッと固まった出来事」という3つで、演じる役柄は小学生である自分自身。3~5人程のグループでテーマについて話し合い、“夢の中で起きた不思議な話”や“お母さんに言いたかったこと”“修学旅行で先生が見回りに来て身体が固まった”など、話し合いの中で出てきた内容を基に、自分たちでセリフや動きを考えながら、ストーリーをつくっていきます。その時の状況を想像し、自分だったらどんなことを口に出すか、どんな気持ちになるか、どんな表情をするか、そういったことをそれぞれが考え、グループで共有し、物語を構築していきます。きっと、大小はあると思いますが、参加してくれた子どもたちの日常の中の様々な思いの一端が、これらのストーリーに注ぎ込まれていたのではないかと思っています。《ショートストーリーズ》の発表の後、参加者の女の子の1人が「あー、すっきりした!」と清々しい顔で私に言ってくれたことがとても印象的でした。
 参加してくれたみんな、こうした機会をつくるために様々ご協力いただきましたみなさま、ありがとうございました。
 またいつか、うれしい再会を果たせることを願いつつ。

武藤知佳

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