稽古場日誌

ワークショップ外部活動 武藤 知佳 2017/12/26

シニアのための俳優講座~音楽劇をつくる~ リポート

 俳優部の武藤知佳です。
 11月18日(土)に「シニアのための俳優講座~音楽劇をつくる~」の発表会が相模原市のおださがプラザで行われました。この講座は俳優部の先輩、倉品淳子が5年間続けている60歳以上の女性を対象に行っているものです。私はアシスタントとして関わらせていただきました。
 この講座、これまでは男子禁制でしたが、今年度は音楽家の片岡祐介さんに加わっていただき、「音楽劇をつくる」という新しい取組みを行った年でもありました。講座の中でたくさんの名曲やユニークな楽曲が生まれました。

 発表会当日。演劇と音楽そして芸術の融合、ということで、会場には出演者18名全員が自身にまつわるものを会場に展示し、ご来場いただいた方にはまずそれらをご覧いただきました。実はそこから今回の発表会ははじまっています。みなさんが観て回っているところに出演者たちがカスタネットやタンバリンや小型の太鼓などの楽器を打ち鳴らしながら、ハイテンションに踊り歩き、お客様を歓迎します。「津軽海峡冬景色!!」「今日のおかずはなんだろな?」「味の素のマヨネーズ」。楽器の音と共に奇妙なかけ声が会場に響きます。その勢いに“大変なところに来てしまった”と思った方も居たかもしれませんが(笑) 出演者はみな笑顔!!  カラフルな衣装に身を包み、お祭りさながらの“練り歩き”を披露しました。
 そしていよいよ本編がはじまります。今回は下記のような四楽章からなる組曲「音楽劇」となりました。
 第一楽章「仮説」~シャインマスカット女子会~
 第二楽章「音楽的なるもの」~FMおださが~
 第三楽章「演劇的なるもの」~ありがとう~
 第四楽章「実験」~大即興大会~
 作品は出演者のみなさんが創作した、《ショートシーン》(創作的な抽象シーン)、《ショートストーリーズ》(創作的な寸劇)、“作詞作曲の歌”などを中心に構成されました。最後の第四楽章は稽古ではルールを決めただけで、本番時に倉品の進行で会場のお客様からテーマを募集し、即興でシーンを作るものでした。どんなシーンが出来上がるのかちょっとドキドキしていましたが、出演者と片岡さんのユニークな掛け合いやご来場のお客様の中に舞台に上がって出演者と一緒に即興で歌い踊ってくださる方まで登場し、大盛り上がりのうちに終了しました。

 終演後、出演者から感想を伺ったところ「生き方が変わった」「今まで蓋をしてきていた自分の気持ちと向き合うことができた」「自分をさらけ出すことの気持ちよさを知った」などの声がありました。また、「普段ならこんなことは言いませんが…」とご自分のことをお話してくださった方もいらっしゃいました。演劇を通して、音楽を通して、仲間との関わりを通して、参加者の方々それぞれが大切な人や大切なもの、そして自分自身を見つめ、勇気をもって表現する中で出来上がった作品なのだと感じました。今のこの参加メンバーにしかできない、そしてあの時足をお運びいただいたお客様と音楽家の片岡さんとそして講師の倉品というメンバーにしかできないみんなの想いがつまった作品だったと思います。
 今回の講座を通して、「演劇は人生を豊かにする力を秘めている」ことを感じることができ、私自身、とても貴重な経験をさせていただきました。
 またみなさんにお会いできる機会を楽しみに。ご参加いただいたみなさま、ご協力いただいたみなさま、そして発表会にご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございました!!

武藤知佳

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