稽古場日誌
7月9日から12日までの4日間、岡山県の赤磐市と総社市の小学校でワークショップをしてきました。
毎年恒例となった岡山でのワークショップ、昨年の豪雨被害にあった地域にも行きました。ワークショップ前日に岡山に到着し、地元の公民館で稽古をしました。その公民館、建物は古くいい雰囲気の場所でしたが、中は床など所々改装されていてとてもきれいになっていました。しかし、話を聞けばその公民館は、1年前に床まで水没したそうです。そんな傷痕を所々感じましたが、岡山の人達は元気に私たちを迎えてくださいました。
今年のワークショップは、体を叩きあってウォーミングアップするところから始まり、左右非対称な動き、様々な《歩行》、感情を爆発させる《二拍子》、《発声》などを俳優が見せたり、できそうなメニューを子どもたちに体験してもらったりしました。ワークショップの最後にはオスカー・ワイルドの『幸福の王子』を15分ほどのお芝居にして子供たちに披露しました。
それでは、今回のワークショップで、子供たちが特にリアクションしていたメニューベスト3を紹介します!
まず、第3位は、「スローモーションの《歩行》」です!
我々がスローモーションで歩くデモンストレーションをやると、子供たちは「おおー!」「すげー!」「映像みたい!」と、とても興味を持ってくれます。これは、どの学校も一緒です。しかし、「スローモーションやってみたいひと〜!」と声をかけると、わーっと大勢前に出てくる学校もあれば、「難しそう」と皆が遠慮する学校もあり、同じ岡山の小学生でも、学校によって反応が様々なのが面白いです。
第2位は、「スローモーションでバトルする」です!
スローモーションが好きなのか、これはとても子供たちにウケます。我々5人の俳優が、舞台の真ん中に集まって、怒りのポーズをとり、そこから5人のアクション映画のようなスローモーションバトルをやります。俳優の120%の鬼のような形相から、やられたときのリアクションへの変化に子供たちはギャーギャー笑い転げていました。
そして第1位は、今回の目玉、『幸福の王子』のお芝居です!
さっきまで騒いでいた子供たちが、黙って食い入るように観ていたのが、とても印象的でした。幸福の王子の像を俳優3人で演じ、ツバメ役と、文章を朗読する人がいて、その他の役は5人で兼ねて演じました。
子供たちの感想で、「1人で何役も演じていてすごかった」というのがとても多かったです。低学年の子には、細かいところまではわかりづらかったかもしれませんが、頭で「これはどういう意味だ?」などと考えず、全身でダイレクトにお芝居を観てくれている気がしたので、私は演じていてとても心地よかったです。また高学年には、話を知っている子もいて「感動した」との感想もいただきました。
そして子供たちだけでなく、外から見守っていた先生方も涙していて、これは去年のワークショップではなかったことなので、とても驚きましたし、役者冥利につきるな、とこちらもエネルギーをもらいました。
今回、私たちは6月末まで劇団の本公演があり、『幸福の王子』も含めて準備期間は1週間しかなく、岡山入りしてからも稽古をするというハードなスケジュールでした。しかしワークショップが終わった後に先生から「(子どもたちの)見たことのない表情が見られました!」と言われると、本当にやってよかったな~としみじみ思います。また機会があれば子供たちに会いに行きたいと思います。
谷 洋介