稽古場日誌
ふと、どうして自分はこういう性格なんだろうと思うときがある。親の性格や教えから始まり、学校時代の学びや、様々な人と出会った過程の中で培った、と言えばそうなんだが、それだけではないような気がする。なんというか、そもそも持ち合わせているエネルギーの質や量のようなものは、私の人生の中だけで備わったものではないような……。
きっと、私の前の私から受け継いだものなんではないかな。前の私から更新されて少し変わったかもしれないけれど、きっとそんな気がする、と考えると、なんだか納得できたりする。
いわゆる、生まれ変わりとか、輪廻転生というやつなんだろう。宗教とは、けっこう縁遠い生活をしているほうだと思うんだけど、こういう考えになるってことは、自分で思っているより影響があるんだろうなあ、と人ごとのように思う。
前の私は、いつの時代のどんな家にいたんだろうと想像してみる。希望としては、戦国時代の、規模が大きくない地域の殿につかえる、下っ端の下っ端の侍の家の娘で、いや、もしかしたら男かも。若い時に近隣の強い殿との間におこった戦争に巻き込まれて死んだ、という感じ。
桜姫は、白菊丸の思い通りに生まれ変わったのに、どうしてそんなに納得いかないのか不思議。本当は、自分の中にある白菊丸の遺伝子のようなものは、実はしっかり受け止めている中で、そうじゃない更新された部分との葛藤なのかなと思ったりする。あるいは、台本ではそういう風に描かれていないけど、白菊丸のときからそうだったのかも。色々と想像が飛ぶ。
ぜひ劇場で、物語の中の人々にはもちろんのこと、ご自身のことも含め想像しにいらしてください。
小笠原くみこ
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劇団山の手事情社 創立35周年記念公演
『桜姫東文章』2020年3月14日(土)~17日(火)
会場=東京芸術劇場 シアターウエスト
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