稽古場日誌
私は今劇団を休んでいて、自分の諸々を見つめ直しています。
その中で、今まで知らず知らずのうちになんとなく誤魔化してきた、自分の「好き」「嫌い」や「快」「不快」を知ることは、私のひとつのテーマです。
初めて『桜姫東文章』のあらすじを聞いた時、犯された人に恋をするなんて“なかなかすごい女子だなぁ”と思った訳ですが、ふと自分の「こころよさ」に素直な女性だったのかもしれないと感じました。
そう考えるとこの桜姫という女性、なかなか自身を読み解く感覚が優れているなと思うのです。
だって、今とは時代が違っているとはいえ、「自分を犯した人なんてけしからん」とか「そんな人を好きになったらダメ」とかそういう世間体とかしがらみみたいなものよりも、自分の感覚に従うことができたのだから。
あなたはこの物語を観て、何に心惹かれ、何に心乱され、何に心を揺さぶられますか? それは何故ですか?
そんなことを掘り下げていってみたら、自分でも驚くような本性が顔を出して、またひとつ人生を豊かにしてくれるかもしれません。
武藤知佳
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劇団山の手事情社 創立35周年記念公演
『桜姫東文章』2020年3月14日(土)~17日(火)
会場=東京芸術劇場 シアターウエスト
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