稽古場日誌
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新型コロナウイルスの出現によって、世の中から演劇をやる意義が問われております。
そんな中、今年も研修生が集まってくれました。その中には、それぞれに様々な理由や決断があったことでしょう。
そこで、今回の劇団員による稽古場日誌は「何故ワタシは演劇をやるのか」をテーマとして、今年度の研修生を応援していきます。
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4分の3冗談、4分の1くらい本気で、未だに探偵になりたいと思っています。まあ、今の年齢からいって軌道修正は難しいと思うので、演劇の中に探偵らしき作業があると分かったときは興奮しました。
セリフや動作の解釈は「どういう気持ちなのか」「何故そういう行動なのか」「こういう行動をとるのではないか」と考える作業で、推理に近いと思っています。また、演出のコンセプトを考える作業は「こう見えると思いきや、こうも見えるのでは?」と新たな証拠を見つけた感じに思えます。
犯人を導き出し事件の解決というゴールはないけれど、その過程の作業は似ているんじゃないかなと、個人的には思っています。
話は急に変わりますが、私が子供の頃住んでいたところは大きな山があって、毎日その山を見ながら育ちました。同じ窓から眺めているのに、おそらく天候や気温・湿度の関係で、日によって山が遠くに見えたり、近くに見えたりします。また、いつも眺めているところからは、富士山のようにキレイな三角の形をしているのですが、角度を変えたところから見ると、全く違う形をしています。
物事は、1つの角度からでは、本質が見えないものなんだなあと。
繰り返しおこなう推理と、同じ側面からのみ捉えない。このことは演劇と通じるものがある、演劇から教わったと思っています。私はけっこう穿った見方をしてしまうことがあるので、戒めとして演劇に携わっているのかもしれません。
小笠原くみこ