稽古場日誌

私が高校生のころ、ボーイズラブという男性同士が愛を育む作品と出逢い、そのジャンルにのめり込みました。何がそんなに面白かったのかしらと振り返れば、恐らく登場人物の葛藤が面白かったのです。

異性を好きになるものだと思っていたのに、いつの間にか身近な男友達を目で追っている。あいつが他のやつと仲良くしてると胸がざわつくし、自分に笑いかけてくれたら嬉しい。友達以上の距離に近づきたい……。いや、でもそんなのあいつに知られたら気持ち悪いって言われて嫌われてしまうんじゃないか。忘れよう、きっと気のせいだ。

そんな、好きという自分の感覚すら一度は否定して見ないふりをして、でもやっぱり好きで、さらに強固に熱烈に好きになっていってしまう。
というのが、いやぁ書いていても滾ります。

私はどうしても女性なので、男性の魅力は伝えられないかもしれない。では女性同士の作品をやろうと思い、今回の作品を選びました。

柔く清らかな関係性であったり、心の機微の繊細さが愛しくも鬱陶しかったり、ある種の女性らしさというものに溢れているのではないかなと思います。
ボーイズラブとは似て非なる女性同士の秘密の花園、どうぞ覗きにいらしてください。
文学としても楽しめる作品たちを用いて、好きで好きでたまらない瞬間をお目にかけられると思います。
ご来場の難しい方は配信で、ご自宅で人目をはばからずにお楽しみください。

特殊ジャンルかしらとドキドキもしております。
ぜひご覧頂き、感想も教えて頂けると嬉しいです。

太田成美

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『暁の聖歌』あらすじ

女学校の寄宿舎で孤独を深める「ちえ子」に、上級生の「柿沼さん」が温かく手を差しのべる。
「ちえ子」は「柿沼さん」をお姉さまと慕い淋しさを癒していく。
元祖少女小説家、吉屋信子の魅力がつまった作品。

『卍(まんじ)』あらすじ

裕福に育ち、性に奔放な「園子」が、美女「光子」と技芸学校で出逢い、引き込まれていき、二人はただならぬ関係になっていく。
しかし「園子」には夫が、「光子」には恋人がいた。
「光子」の魅力に翻弄される人々の行く末は……。
谷崎潤一郎が描く劣情、独占欲まみれの作品。

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劇団 山の手事情社 公演『池上show劇場【PREMIUM】』

構成・演出=安田雅弘
日程=2021年11月5日(金)~7日(日)
会場=山の手事情社アトリエ

【PREMIUM】公演情報詳細は こちら をご覧ください。
【DELUXE】【PREMIUM】は 配信 でもご覧いただけます。

『池上show劇場【PREMIUM】』1 『池上show劇場【PREMIUM】』2

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