稽古場日誌
8/28(土)・29(日)、宮城県大河原町にあるえずこホールにて、『宇宙船艦エズコ』が上演されました。
公演直前の緊急事態宣言発令により、対面での上演ができるのか危ぶまれましたが関係者全員の努力によりお客様になまのお芝居をお届けすることができました。
私は毎年、えずこシアターを見に宮城に行くのを楽しみにしていました。
劇団員数名でレンタカーを借り、観劇ツアーを行うのです。
それが昨年からはコロナウィルスの感染拡大によりできなくなってしまいました。
残念だなあ、と思っていたところ、演出の倉品淳子から衣装担当のお話をいただいたのです。
毎年公演を見ていたので、年齢も様々、体型も様々、個性あふれる20名もの衣装製作が私に務まるものか、非常に心配でした。
しかし、こんなチャンスは滅多にないぞと心を決め、お引き受けしました。
今年の公演は『宇宙船艦エズコ』。
タイトルを聞いた時はびっくりしました。宇宙船艦?? SF!?
実は、コロナウィルスの影響で、大人数のお芝居に出演できず、別室からzoomで参加しなくてはならない方や、マスクをつけてお芝居をしなくてはならないなどの多くの制約をすべてクリアする目から鱗のアイディアなのです。
衣装の製作は、6月に一度採寸や写真撮影のためにえずこシアターの稽古場を訪れ、その後は本番1週間前まで東京でひたすら衣装を作り続けるというなかなか過酷な現場でした。
真夏の30度を超える山の手事情社の稽古場で、似合わなかったらどうしよう、着られなかったらどうしよう、お芝居に合っていなかったら(汗)……と不安になりながらひたすらミシンを踏み続けました。
本番の約1週間前、ようやく宮城入り。
前日からえずこホールの使用時間が短縮になっており、20時で完全退館しなくてはならなくなっていました。
えずこシアターのメンバーは働きながらお芝居をやっている方がほとんどで、仕事を終えてから急いで稽古場に駆けつけるとどうしても18時、19時になってしまいます。
つまり、1時間〜2時間しか稽古できないのです。
それでも、その時できるシーンを毎日少しずつブラッシュアップし、お互いを気遣い、恐るべきチームワークで本番に向けて一歩一歩進んでいきました。
ゲネプロ前日、緊急事態宣言発令で公演ができるかわからなくなった時、稽古終了後ホールの前に集まって全員でミーティングを行いました。
シアターのベテラン女優さんが「えずこシアターを見に来て笑いたいというお客さんがいる以上、私は公演をやりたい」と言っていたのが印象的です。
地域のえずこファンの方々と、シアターの絆を強く感じました。
千秋楽、カーテンコールの鳴り止まない拍手で舞台に上がった演出、倉品淳子の目からも堪えきれずに涙が溢れました。
昨年、今年とコロナウィルスに苦しめられているのは事実ですが、そうじゃなかったとしても、演劇を続けていくことは非常に大変なことで、その時その時、臨機応変に「それがどうした!」とピンチに堂々と立ち向かっていくえずこシアターのメンバーの生き方はとても素敵だな、といつにも増して感じました。
来年はどんな公演を見せてくれるのか、今からとても楽しみです。
安部みはる