稽古場日誌

昨年の5月から始まったニュージェネレーションとしての生活は2月の末をもって終わりを告げる。
なんの縁なのか今年になって私の身の回りでも終わっていくものが多い。
1月に長らく一緒に過ごした恋人と別れた。
2月、4年間働いていたバイト先が閉店した。
3月には大学を卒業する予定で、長かった学生生活も終わりだ。

私のなかの「青春」というものが終わりつつあることをここ最近感じ、この先私は何者になるんだろうと漠然とした不安に襲われる。このままどこかで誰にも知られずに消えたいと稽古帰りの電車に揺られながら考えてしまう。
振り返るとこの1年本当に色々あった。
終電間際まで新宿駅で別れ話をしたり、お酒を飲みすぎて記憶を飛ばしたり、バイト先で朝から店長と喧嘩したりと……楽しかった思い出よりは大変だったことのほうが出てくる。

私の解釈では『ほんのりレモン風味』は、色んな人たちが死んだ後に自分の人生こんなことあったなと振り返っているような作品だと思う。舞台上に『ほんのりレモン風味』な思い出を蘇らせていく。いや、蘇らせたいという怨念が強すぎて舞台上にのってしまったのかもしれない。よく劇場にはそういう怨念や霊が集まりやすいと聞くがまさにこの作品では私たちが亡霊となって……もしかしたら、千秋楽が終わると私たちは本当に浄化されて消えてしまうかもしれない……。
稽古を重ねていくなかで、私という人間はつくづく臆病だと感じる。先の事ばかり考えてしまいすぐに不安になる。新しいところに飛び込んでいくのが怖いから自分のできる範囲でしかやらない。だから浅いところでいつも終わってしまう。それを後でものすごく後悔するが、なかなか変わることができない。
でも次は変われるかもしれないと淡い期待を自分にしてしまう。

いや、今回ばかりは違う!!!!!!!
ものすごく自分に期待してしまっている。変われるんだってもっと深いところに飛び込めるんだって! 期待してもいいじゃないか!
変わったもの勝ちだ!
公演が始まるまであと少し、まだやれることはいっぱいある。最後の最後まで足掻いていこうと思います。

磯野晴菜

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『ほんのりレモン風味』omote

ニュージェネレーション公演『ほんのりレモン風味』
日程:2022年2月23日(水・祝)~27日(日)
会場:大森山王FOREST

詳細は こちら をご覧ください。

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