稽古場日誌

馬込文士村 空想演劇祭 山本 芳郎 2022/12/12

言い訳つらつら

山本です。
宇野千代を虜にした東郷青児という超プレイボーイの役をやりました。
華麗な女性遍歴らしく、実際の写真を見てもかなりのイケメンでダンディーです。

破天荒な人生を送った人で、そういう人物を演じるわけですが、難しいですね。
でも映画などで実在の人物を演ずるのであればそれなりに本人に似せてくるべきなのでしょうが、今回は映像とはいえ芝居だし、山の手事情社の《四畳半》でやりましたので、まあ細かいところはいいかな……と。

宇野千代を演じる越谷真美はメイクと髪型で割りといい感じに似せてきていますが、僕の東郷青児は全然似ておりません。
若々しいモテモテのプレイボーイどころか、ただのオジサンが頑張っているわけですが、芝居をその気になってやっていればフィクションとしての東郷青児は到来するかもしれないというのが、《四畳半》というスタイルの理念というか理想ではあるので、そのあたりを踏まえてあまりあら探しせずに観ていただけるとうれしいです。

今回撮影した『千代と青児』という作品。
宇野千代が東郷青児との恋愛や尾﨑士郎との別れを回想しながら、その語り部分と具体的な会話の断片部分を行き来します。

断片の連続でしかも《四畳半》ですので、何やらカクカクした動きでパサパサした感情移入のしにくい芝居になっているかもしれません。
ですが昔の記憶を掘り起こしている芝居ですので、これはこれでまあいいのかなあ……と勝手に思っています。
大昔の思い出なんてたいていモノクロームで断片的だったりするものなので。
宇野千代本人にとってはみずみずしいカラフルな記憶なのかもしれませんが。

また宇野千代も東郷青児もとんでもなく常軌を逸した恋愛遍歴で、日常的にはなかなか出会えない、まるで古典戯曲の中にしかいないような人物です。
《四畳半》のちょっと違和感を覚えるくらいの芝居でちょうどいいのかなと。

それにしても東郷青児、
17歳でひと回り年上の人妻(竹久夢二の奥さん)を寝盗ったという逸話もあります。
生々しい実在の彼は、イケイケというよりもむしろ甘え上手というか、人懐こい子供のような明るさを持っていたんじゃないでしょうか。女を次から次に食うというより、女が放っておかない、女性の本能に訴えるような魅力を備えた人物だったんじゃないかと思っています。

いずれにしても僕にとっては遠いキャラクターであることは間違いないようです。

山本芳郎

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OTA アート・プロジェクト
馬込文士村 空想演劇祭2022 作品上映&[同時収録]生ライブ

日時=2022年12月17日(土) 11:00開演/15:00開演
会場=大田文化の森 多目的室

チケット購入
https://yyk1.ka-ruku.com/ota-s/showList

【配信情報】
https://www.ota-bunka.or.jp/magome-engekisai/

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