稽古場日誌
デカメロン・デッラ・コロナ 安部 みはる 2023/03/06
本番1ヶ月前を切り、ベタ稽古に突入した。
稽古場では毎日、いろんなシーンが少しずつ立ち上がっていく。
ボッカッチョの書いた『デカメロン』という作品は全部で100の物語が詰まっているので全ては取り上げられないが、とても面白い。是非、全部読んでみていただきたい。
現代の小説の中に『デカメロン』のDNAを感じるようになって、文学作品に対する楽しみが増すに違いない。
『デカメロン・デッラ・コロナ』はあえて一言でいうなら、「壮大」だろうと思う。
今まで常識だと思っていたことを覆そうとしている。
どんなお芝居になっているかというと「構成演劇」という手法で色々な要素を組み合わせてひとつのお芝居になる。
要素としては、安田の書いたオリジナル台本、『デカメロン』の中の物語、文明論の部分、《ルパム》というオリジナルダンスシーン。
そしてそして……未だ鳥取から帰らない(※注)山本芳郎のシークレットシーンがある。内容は誰も知らない。
全く繋がりそうのないイメージの違うシーンを思うがままに組み合わせてしまうのだ。
全てのシーンを見た結果、脳みその無意識領域がビンビンに刺激されて言葉にならない感動が沸き起こり、家に帰ってから悪夢にうなされるというのが狙いである。
間違っても笑えて泣けて感動するけどちょびっと怖いお芝居です❤︎ みたいなことにはならない、はずだ。
稽古が始まった頃、安田が書いた台本部分を読み合わせた時、みんなの頭の上に「?」が浮かんだ。これを、どうすればいいのだろう……。
そこに安田の「意味がわかりませんという質問には耳を貸さないから!」という宣言があった。
その場にいた全員が「安田さん……本気(マジ)だな……」と思った。
そして、創作意欲に火がついた。
わかりやすい面白さは追求しない、バズる、ウケる、流行る、有名になる等々。そんなものはクソ食らえだ!
これが山の手事情社の40年守ってきた唯一無二のスタイルだ。
これはお客様にぜひ見てもらいたいという情熱を持ち、本当に面白い演劇とは何かを考え続ける。
是非、劇場で山の手事情社のルネサンスを目撃してください!
安部みはる
※注:山本芳郎は、鳥の劇場『三人姉妹』に客演しており長らく鳥取に滞在しています。
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