稽古場日誌
ニュージェネレーション(体験談)研修生 草野 明華 2023/03/13
俳優として生きていきたいと思いながらもどうすればいいか分からず、そのままコロナ禍に突入し、大学演劇も思うように舞台に立てない、そんな状況の中で飛び込んだのが山の手事情社のニュージェネレーションだった。
やる、と決めるまでにも時間がかかった。
単発・短期のワークショップではなく、1年間という時間をかけるということが恐ろしくもあり、楽しみでもあった。
いざ、ニュージェネレーションの稽古がはじまると、出来ないことばかりで打ちのめされた。まず身体が思うように動かない、声が出ない、基礎的な身体の素養がないという事実に直面した。それに俳優としての発想力も表現力も、全然なかった。
こんな状態で演劇が好き、なんて言っていたのか……! となんだか恥ずかしくなったのを覚えている。
稽古は自分を見つめる時間でもあった。
何を面白いと感じるのか、何が怖くて苦手なのか。
私は基本的にびびりだった。
《フリーエチュード》の時間はいつもお腹が痛かった。面白いことをする同期を見ながら「私には出来ないよ〜」と思っていた。
《ショート・ストーリーズ》でも、舞台上で傷つくことが怖かった。
でも1年間を経て、生まれ変わったのだ!
……なんてことはまるでない。
やっぱり身体はそんなに使えないし、声もまだまだ小さい(少しは大きくなった)。そしてまだまだびびり。
だけどニュージェネレーションを経て、思っているよりも大きく表現しないと観ている方には伝わらないこと、身体を動かすことは意外と楽しいってこと、自分が得意かもしれないことのタネも見つけた。
苦しかったし、稽古を休みたいと何度も思ったけど、それでも続けられたのは、努力家でまっすぐな同期たちに沢山刺激をもらったことと、毎回の稽古で必ず気付きがあったからだと思う。
それから、当時の自分にアドバイスをするなら、「最初からエンジンかけていった方がいいよ!」ってことだ。1年はあっという間だ。「出来なさそう」と自分で決めてしまっていることに、毎回3mmくらい踏み込んでいたら、もう少し変わっていたのかなと思ったりもする。
だけど、その時の自分が出来ることをやりきったことで、俳優として前進出来たのは間違いないと思う。
草野明華
《フリーエチュード》… 一定のルールや設定に基づいて即興的に行うシーン
《ショート・ストーリーズ》… 日常の中に潜むドラマを発見し創作した短いお芝居
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劇団 山の手事情社
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