稽古場日誌

かもめ ルーマニアツアー 小笠原くみこ 2023/06/09

トラブルがない海外公演は海外公演と呼ばない

5年ぶりの海外公演です。今回は、ルーマニアのシビウでおこなわれる国際演劇祭と、ルーマニアの西側にあり、ハンガリーやセルビアに近いティミショアラという都市に行きます。シビウは10年ぶり、ティミショアラは初です。

海外公演と言えば、トラブルがつきもの。日本では考えられないような、大小のトラブルが、ほぼ毎日発生すると言っても過言ではありません。

過去に起きたトラブルを、一部ご紹介しましょう。

★ 私たちの知らぬ間に、劇場側のスタッフがロシア語が出る字幕パネルが設置している。
(劇場側のスタッフ曰く、ロシア語しか分からないお客様もそれなりにいるという配慮からとのこと)
★ ホテルの下水が詰まって一晩中全部屋のバス・トイレが使えないうえに、詰まらせた犯人扱いされる。
(ホテルの支配人の方に、通訳さんが穏やかな口調でしたがキッパリと「我々ではない」と宣言)
★ 前日の大雨か何かで移動日に高速道路が使えず、バス移動が予定の3倍くらい時間がかかる。
(身を任せて、ゆっくりとバスの旅をすることに)
★ 仕込み中、劇場スタッフがストライキを起こして、何時間も劇場スタッフ不在。
(落ち着いて、私たちだけでできることを進めて、スタッフが戻ってくるのを待つ)
★ 別団体の芝居で撒き散らした大量の小麦粉と割れた生卵の残骸が、そのまま舞台に残っているところから仕込みがスタート。そして、なぜか大量の蚊が発生し刺されまくる。
(劇場の掃除担当の方を呼んでいる時間はないと判断し、みんなで掃除。蚊はガマン)

ちなみに、ここに列挙したトラブルは、すべて違うツアーで起きたことです。
どんなに綿密に準備して行っても必ずトラブルは起きる。これは海外公演の際の私の座右の銘です。もう「トラブル」というより「アトラクション」という認識でいないと乗り切れません。

何度か海外公演をした経験から言えることは、こちらの常識は通用しないこともあるという認識を持つこと。事前のメールのやり取りでも、現地に入ってからも、「コミュニケーションが大事なんだなあ」と改めて感じます。海外公演は人を強くしてくれます。

今回もきっと、これまでに経験したことがないアトラクションが待っていることでしょう。一回り大きくなってきます!

公演の成功を、応援していただければ幸いです!

小笠原くみこ

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