稽古場日誌

2023年度ニュージェネレーションの谷口愛珠(たにぐち まなみ)です。
普段は、臨床心理学科の大学生です。
ですが、ニュージェネレーションになって、臨床心理学科なのに、何も見えていなかったんだと恥ずかしくなりました。

山の手事情社の稽古をしていると、今まで気づいていなかった自分が見えてきます。

《山の手メソッド》に、決まった動きでゆっくり歩く《歩行》、一瞬で「大」の字のようなポーズを作る《平行》という稽古があるのですが、そこで、形やポーズを作るのに必要な力以外に、身体に無駄な力が入っていると指摘をされ普段から身体がどうなっているか意識するようになりました。
そうすると、大学の授業中でも電車でも、じっとしている時でも、必要のない力が入っていることに気づきました。
それに、常に前傾姿勢。これも稽古中によく指摘されます。
なぜそうなっているんだろうと考えると、これまでの習慣や精神的な理由が思いつきました。
スマホやゲームのスクリーンに張り付いて、あまり周りを見ずに生きてきたことや防衛的な精神状態が反映されているように思いました。

《漫才》、「最近腹の立ったこと」など、決まったテーマで共演者と会話をするのをお客さんに見てもらうという稽古です。私がやると、共演者やお客さんに、私が何に怒っているのか伝わらなかったり、内容が思いつかなかったりします。
同期のメンバーは、相手に伝わりやすい言葉や話が広がっていく言葉選びが上手くて、自分が普段どれだけ頭を使わずに会話しているのか浮き彫りになります。私は「〇〇なことがあって、ムカついたんだ」で終わってしまうのに対して、同期は詳しく、面白く状況を説明できます。

ニュージェネレーションになって、色々な稽古をするうちに、自分の視野の狭さ、見てきた世界の狭さを感じました。私は、これまで、それなりに友達と会話をするし、会話もできているつもり、周りのことを見ることもできているつもりでいました。でも、それは違いました。
頭に浮かんできた言葉をそのまま話しているだけで、相手に伝わりやすい表現を考えられていない。周りに伝えようと努力していなかったのです。

誰かの身近な人の真似をする《ものまね》という稽古があります。《ものまね》では、面白さが求められます。面白いことをしようと考えても、見ていた世界が狭すぎて、自分の中の面白いことは、限定的で幅がない。ほぼ何も思いつかない。

最近は、自分の殻に閉じこもるのをできるだけやめて、もっと視野を広くして、色々な世界に興味を持って、面白いことを探せるアンテナを貼りながら意識的に生きようとしてみていますが、この生き方、疲労がすごい。自分、どんだけ楽してきたんだ。

山の手事情社の稽古は鏡みたい。
様々なことを気づかせてくれます。
今年はひたすら、自分を映して、向き合って、自己嫌悪しようと思います。

谷口愛珠

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