稽古場日誌

ワークショップ学生のための演劇サマー&ウィンタースクール 有村 友花 2023/09/16

学生のための演劇サマースクール2023 リポート

8月7日から9日まで、「学生のための演劇サマースクール」が開催されました。メイン講師は川村 岳さんが担当し私、有村友花はアシスタントをつとめました。

今回も多くの学生が参加してくださり、高校1年生から大学4年生と幅広い年齢層で、演技経験も様々。普段は英語で演劇をしていますという方や、演劇は初めてですという方もいて、バライティーに富んだメンバーが集まりました。

初日、アトリエに集合した参加者の皆さんは緊張した面持ちでしたが、一緒に身体を動かしていくうちに打ち解け、和やかな雰囲気で進めていくことができました。また、講師の川村さんに積極的に質問している学生もいて「絶対に何か持ち帰るぞ!」という強い意志を感じました。

この3日間は、発声練習やストレッチなどの基礎稽古を行うのはもちろんですが、主に発想力と実践。短い寸劇をつくる《ショート・ストーリーズ》、いろいろな場面を設定して、即興的な演技や表現をしてみる《フリーエチュード》を行います。

特に印象的だったのが、《モノマネ合戦》というエチュードで、モノマネをしてその人になりきることが出来た人から抜けていくというものです。
私も過去にやったことがあるのですが、苦手で抜けられない地獄のようなエチュード。ウケなかったら、似てなかったら、と怯んでしまうと中途半端なモノマネになってしまいます。
学生達は戸惑いながらも、様々なモノマネで挑みます。テレビキャスター、芸人さん、黒柳徹子、ドラえもん……。

その中で
「上手く出来ないかもしれない」
「伝わらないネタかもしれない」
と動けずにいる学生がいました。
講師の川村さんが
「なんでもいいんだよ。」
と言いますがさらに悩んでしまう。周りの参加者も具体的に色々と提案してくれて、本人が動き出せるまでじっくりと待ってくれていました。
悩んだ末に、刀を扱うキャラクターのモノマネが飛び出してきました。しかし、まだ恥ずかしさや、不安が見えて中途半端です。
すると川村さんが
「そのキャラクターのカッコいいのはどんなところ?」
「その動きもっと大きく何度もやってみて。」
と細かくアドバイスをします。それを受け何度も何度も挑戦してみます。
するとだんだんと動きが大きくなり、声も大きく、顔つきも自信に溢れて、先ほどの縮こまったモノマネとは違う、姿が見えてきました。

そう、なりきってやっているその姿がみたいのです!

なかなか踏み出せず辛かったと思います。けれど一歩踏み出してみれば、私こんな声が出たんだ! こんなに動けるんだ! と新しい発見があるはずなのです。
そして、踏ん張って挑戦して見せてくれた姿はとてもかっこよく見えました。

演劇は自分の知らない世界や、発想、身体に飛び込んでいく場面が多いと思います。知らないもの、正解が分からないことに飛び込むのは怖くてたまらないです。けれど、その一歩踏み込めるかが重要なのだと思います。
参加者の皆さんは講師の言葉を受け入れて全力で挑戦し、新鮮な姿を沢山みせてくれました。そして、何をしてもいいんだと言う場を一緒に作ってくれました。
ワークショップを終えた後もエチュードの感想や、楽しそうに話している姿が見られてこのメンバーと別れるのが少し名残り惜しかったです。

この3日間、私自身も新しい発見や、演劇についてよく考える良い機会になりました。もっと頑張らなくては!

ご参加いただいた学生の皆様、なにか1つでも新しい事を見つけて帰ってくださったら幸いです。本当にありがとうございました。

有村友花

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