稽古場日誌

馬込文士村 空想演劇祭 谷 洋介 2023/12/22

クローズアップ演劇

先日、イベントを終えた「馬込文士村 空想演劇祭2023」。
僕は、映像作品『片腕』に参加しました。原作は川端康成。30ページほどの短篇です。
内容はこれまでの稽古場日誌に書かれている通り、女の片腕を男が借りてきて一晩愛でる、という話です。

この話を女性はたいてい気持ち悪がります。わかります。けれど僕は男性にはこういうフェチズムがあると思います。
物語の中で、主人公である「私」という男は、とにかく女の片腕を褒める。あらゆる角度から褒める。そんなに言葉出てきます? というくらい褒め倒す。
まるでイタリア人の紳士のように。
逆にスゴいなぁ、と僕は感心してしまった。

そんな原作をもとにしたお芝居を映像化したものが、先日のイベントで公開されました。
僕が参加した斉木和洋演出の『片腕』は、4人の女優で“片腕”を演じました。
僕もそこで初めてできあがった映像を拝見しました。
演劇は等身大の俳優が観られる。それが演劇の魅力の一つであると思いますが、今回の映像では、“片腕”役の女優の右腕がクローズアップされていました。
カメラワークの巧みさや、フレーム内で表現するからこその凝縮感があり、迫力の映像でした。
本来の演劇は定点カメラで観るようなものですが、映像は推しカメラでライブの映像を観ているような感覚でした。
クローズアップ演劇、これはこれで面白い。

来年1月21日から、こちらの映像の配信が始まります。
『片腕』の他にも、きたまり/KIKIKIKIKIKIさんの『横笛』~詩集「故郷の花」より~(三好達治原作)の作品も観られます。こちらの作品もフレーム内で表現する遊び心満載だ。
そして清水 宏さんのスタンダップコメディはイベントで行われたライブを収録。川端康成と三好達治を清水さん独自の視点でとてもわかりやすく解説していて、お客様を沸かせていた。

イベントに来られなかった方は、ぜひ配信をご覧になって下さい。

谷 洋介

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馬込文士村 空想演劇祭2023 オンライン配信
2024年1月21日(日)から
演劇動画配信サービス『観劇三昧』にて配信
詳細は間もなく公開!

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