稽古場日誌
高島くんといえば……
わたしのくだらない愚痴を聞いてくれる数少ない人物だ。とてもひとまわり以上年下とは思えない。遠い先祖は親戚だったんじゃないだろうか。
年下といえば……
後輩の面倒見がよく、最近では声枯れで悩んでいる有村友花にアツく、アッツく横隔膜について語っているのを見かけた。発声は横隔膜と密接な関係があるらしい。
横隔膜といえば……
高島くんは焼肉奉行だ。劇団員の中で彼の右に出る奉行はいない。焼き加減、焼く順番、網の上の配置、全てにおいて完璧な采配だ。まるで彼自身が炭火のようにメラメラと燃えたぎる。もろ肌を脱ぐとはこのことか、桜吹雪が目に染みるぜ。
燃えたぎるといえば……
彼は非常に熱い男である。以前、とある劇団員から若手劇団員の体の使い方に対する認識が甘すぎると指摘を受け、嗚咽を漏らしながら悔しさを漏らしていたことがある。素直にすごいな、と思った。
すごいといえば……
昨年度のニュージェネレーション公演『僕らはみんな逃げている』にて、高島くんは舞台監督を務めた。俳優とスタッフは心構えが全く違う。舞台の表側に自分の存在が見えないように、それでいて舞台がスムーズに進行するようにあらゆるところに気を配るのだ。見事に黒子に徹していた。
俳優といえば……
高島くんは若手劇団員の男性の中で最もアブラの乗った俳優である。昨年の『かもめ』ルーマニアツアーではメドヴェージェンコに抜擢され、シビウ国際演劇祭の舞台に立っている。
アブラといえば……
彼はよく、稽古場で料理をしている。もちろん自分の食事だ。「高島」と書かれた調味料が冷蔵庫にストックしてある。たまに黙って拝借している。
ストックといえば……
《ルパム》というオリジナルダンスの創作で同じチームになることが多い。彼はネタをたくさんストックしてくる。ニヤニヤしながら意気揚々と考えてきたアイディアを語る姿は清々しい。
以上がクールでアツい高島領也だ。この数日、高島くんのことばかり考えてしまったよ。
こんな日常的な紹介で良いんだろうか。否。この日常の土台の中から、彼が演じるシェイクスピアの登場人物のリアリティは生まれてくるのである。
今の高島領也を見られるのは今だけ。ぜひ、『夏の夜の夢』を見に来てください!
安部みはる
※ 写真:『過妄女』(2019年)
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若手公演『夏の夜の夢』
日程=2024年7月27日(土)~8月4日(日)
会場=山の手事情社アトリエ
6月5日(水)予約受付開始。
詳細は こちら をご覧ください。