稽古場日誌

葵上 ニュージェネレーション 2026/02/16

研磨し合う演劇空間

今回の稽古では主に3つのシーンの稽古が行われていた。その中で宮﨑さんと明子さんとのシーンが印象的だった。私が見学を始めて間もなく、演出の小笠原くみこさんは宮﨑さんに対して「宮﨑は【見てから分かる】という芝居になりがちだよね」と仰っていた。
私は「どういうことだ?」と疑問に思ったが、何度もシーンのリテイクを重ねていくうちに、宮﨑さんの身体と表情の作り方に「対象を目で認知してから動く、またはセリフを言う」という癖が見えてきた。

また葵上の姿を見た後の場面で、くみこさんが宮﨑さんの背中を上から実際に押さえつけながら「今わたしが力を加えて、宮﨑が抵抗したように、この場面では宮﨑の内部でその力関係を作らないといけない」とアドバイスをしていた。
この"力関係"という言葉を聴いた時、《山の手メソッド》の訓練の一つである《歩行》の稽古で「丹田を意識し進行方向とは逆からも引っ張られてるイメージを持たなければならない」と教わった事を思い出した。
基礎訓練である《歩行》をしっかりと修得しなければ、一つ一つの動きを作れないのだと痛感させられた。

今回は2回目の稽古場見学だったが、稽古場全体の空気感は静かで凄まじい集中力に満ち溢れ、見学者としても気が抜けない時空間であった。自分のシーンではなくとも、別のスペースで動きを作る者や、自分のセリフを歩きながら何度も口ずさむ者など、それぞれで「高度な微調整」が行われているのだと感じた。

山の手事情社の休止前最後の本公演稽古は、研ぎ澄まされた凄まじいエネルギーを全員が纏い続けていると感じられた。私はこれまで何度かプロの現場を見学したことはあるが、今まで感じたことの無い緊張感に武者震いをした。
本番が非常に楽しみである。

木島史人

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劇団 山の手事情社 公演『葵上』
日程=2026年3月3日(火)~8日(日)
会場=小劇場B1

詳細は こちら をご覧ください。

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