稽古場日誌

ワークショップ 三井 穂高 2014/10/31

社会人ワークショップ第七弾 リポート8

3回目の担当は浦です。前回のテーマ「声を届ける」を更に深め「相手に思いを届ける」ことについて、探っていきます。

他の生き物と違い、人間は言葉の意味を理解します。
ですので、セリフを言う時もその意味に囚われてしまい、言葉の裏に隠れた身体や精神状態を後回しにしがちです。
たとえば「おはよう」という言葉一つとっても、「あ、寝不足だな」「何かいいことあったな!」「イライラしている?」など、 話し手の精神状態が、「おはよう」という言葉とともに伝わります。
セリフの場合は、奥に潜んでいる精神状態を探求して伝えなくてはいけません。
ここが、セリフの面白いところであり、難しいところ。
演劇をやる上で、はずせない大事なポイントです。

まずは、届ける思い・感情をがっちりつかむメニューに取り組みました。
山の手事情社ではおなじみの、《歩行》(スローモ ーションで歩く)、《二拍子》(「怒り」や「喜び」といったテーマにそったポーズをとる)。
歌謡曲からクラシックまで、様々な音楽の助けもかりながら、恥ずかしい気持ちも徐々になくなり、盛り上がっていきます。
井上陽水の「氷の世界」が流れる中、プルプルしながら怒りのポーズをとる様子に、会場は爆笑!

参加者の皆さんは、演じ手の状態が伝わると面白いことが体感できてきました。
ですが、いざテキスト『道成寺』のセリフを言おうとすると、どうしても言葉の意味にとらわれてしまいます。
部屋の明かりを暗くしてみたり、鐘の音を聞いてみたりしてイメージを膨らませ、役の僧達の精神状態に近づけていきます。
息遣いにも注意を払い、集中していきますが、なかなか難しい。
最後はあえて読む人と体の状態を表す人に分け、二人で一役を演じてみる実験に突入。
この実験は、今後も続きそうです。

残り二回、思う存分悩んで、チャンレジしてもらう予定です!

三井穂高

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