稽古場日誌

テンペスト 2014/11/12

生誕450年のシェイクスピア

 言わずと知れたイギリスが生んだ大詩人シェイクスピア。今年(2014年)は生誕450年。今日に至るまで世界中の人々を魅了し続ける世界一のベストセラー劇作家でありながら、文豪という呼び方は似合わない。
 彼の人気の秘密はやはり彼の描く人間世界の面白さ。矛盾や葛藤を抱えながらも情念のおもむくままに行動してしまう人間。権力に目がくらみ、恋に盲目になり、おのれの無知に気づかず、愚行をくりかえす…。わかっちゃいるけどやめられない、人間のどうにもならなさを温かく鋭く見つめ、壮大なスケールで描きだす。
 膨大な台詞は幅広い教養と人間への洞察に満ち、しかも格調高さと猥雑さが同居する。大学を出ていない男にこんな傑作が書けるはずがないと、後代の研究者からはシェイクスピア別人説まで出る始末。
 登場人物は多種多様、王侯貴族から庶民、浮浪者、黒人奴隷までが入れ替わり立ち替わり、妖精、魔女、亡霊、神話の英雄までが登場し、場所や時代もよりどりみどり。
 設定もテーマも様々、嫉妬、密通、不倫、忠誠、裏切り、レイプ、殺人、復讐、予言、クーデター、権力闘争、ジェンダーの混乱、燃えるような恋愛、夢、奇跡、魔法、戦争、憎しみ、和解、人間不信、人間呪詛、涙も笑いも何でもござれの大衆芝居。
 この世は舞台、人間はみな役者…。
 「いつの時代も人間ってこうだよね」と普遍的なメッセージを突きつける。
 「哲学や理性なんかで人間がわかるか」と言わんばかりの壮絶な人間賛歌なのだ。

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次回公演「テンペスト」
2015年1月14日(水)~18日(日)
東京芸術劇場シアターイースト

11月19日(水)より早割開始!

公演情報はコチラ
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