稽古場日誌

テンペスト 安部 みはる 2014/12/18

妄想力

街は少しずつクリスマス、年末モードに包まれつつありますが、山の手事情社はますます激しく稽古中です。
ドンナ稽古をしているの?? と聞かれてもなかなかお答えしにくいことばかりのため、私なりに『テンペスト』公演のツボについて書こうと思います。
今回の公演のツボはズバリ、妄想力です。
大人になるとだんだんと知識と経験が増え、わからないことや知らないことが減る分、世界が狭くなっていくなんてことがあります。
サン・テグジュペリの小説「星の王子さま」冒頭で、うわばみに飲み込まれた象の絵を大人が見ても帽子にしか見えない、というアレです。
大切なことは目に見えない。
全ての公演がそうだ、なんてことはありませんが、映像っぽい舞台、テレビドラマっぽい舞台が増えている昨今、山の手事情社の『テンペスト』は舞台にしか出来ないことを目指して日々妄想の翼を広げています。

たとえば、若手劇団員で《ショートシーン》を作っています。
人間を食物に見立ててみたり、部屋を真っ暗にして懐中電灯で少しだけ見せたり、ラップ(歌)で物語を説明したり・・・。
※《ショートシーン》とはセリフを使わず、あるテーマをもとに短いシーンを作る稽古。

本番の舞台に《ショートシーン》がどのくらい使われるかはわかりません。
なんのシーンかも・・・。
脳みそをふにゃふにゃにやわらかくして、あなたには何に見えるか自由に妄想して見てください。
『テンペスト』の新しい解釈とストーリーが生まれるかもしれません。

安部みはる

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