稽古場日誌

ダイバー 浦 弘毅 2015/02/21

研修時代

1月に『テンペスト』を終え、一段落と思いきや、山の手事情社の稽古場では2014年度「俳優になるための年間ワークショップ」の修了公演『ダイバー』の稽古で熱気ムンムンです。
今年のワークショップ生(山の手事情社内では“研修生”と呼んでいます)は8名。
20代前半から50代前半までと幅広い層です。劇団創設して30年を迎え世代を越えていろんな人が山の手事情社の門を叩くという私にはとても素晴らしい環境だと思っています。

私が研修生だった時代は1996年。いまから19年前の話です。劇団も主宰の安田がまだ30歳前半という創設して12年を越えたあたりでした。まだ、現在の山の手事情社のスタイル《四畳半》はなく、即興を中心にとにかく身体を使いハチャメチャなシーンを立ち上げる時期でした。

当時劇団自体がまだ若かった事もあり、私たち研修生は全員30歳以下。19歳という研修生もいました。正直人生の経験はほとんどなく、今思えば話し合いも同じ世代にあったものばかりだったと記憶しています。よく言えば元気がある。悪く言えば深みがない。世代も一緒だったので、ケンカもたくさんありました。

今年の研修生は20代、30代、50代と世代の違う人たちが集まり、感覚の共有に相当苦労したと思います。しかしそれを体験できるって演劇ではとても幸せなことなんだと思うんです。面倒臭いことが実は表現するエネルギーになる。羨ましいな~って思います。
昨年2013年度の研修生は国を越え、オーストリア出身の研修生もいました。

いろんな人が集まり、“演劇”って何だろう? この芸術はなんの役に立つのだろう?
と世代を越えずっと考えることのできる環境が大田区池上にある。
「なんかすげーことしてるな」って思ってしまいます。
羽田空港があり、国際窓口となるこの大田区で山の手事情社は今後国内外に発信していける劇団にならなければならないと思っているなかで、次世代を担うであろう若き(?)俳優達を是非見に来てください。

そこには深みのある元気があります。

 浦 弘毅

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