稽古場日誌

私は山の手事情社の作品に喜劇は似合わないと常に思っている。
過去の作品で喜劇を扱った記憶がない。
仮に喜劇的な戯曲であっても、作品がハッピーエンドで終わったことはないと記憶している。

これだけを聞けば、お客さまも俳優も陰鬱な気持ちになりそうだが、そうでもない。
実はちょっと笑える。
他人の不幸ってめちゃくちゃ興味がある。
実際に自分が悲劇の当事者となったらとてもきついだろう。生きていけないかもしれない。
でもそれを演劇で疑似体験ができるって、とても得している気がする。

私が生きていく中で必要不可欠なものである。

浦 弘毅

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『タイタス・アンドロニカス』『女殺油地獄』、両作品が「悲劇」であることにちなんで、「私と悲劇」をテーマにした稽古場日誌を連載中です。
それぞれの生活感あふれる「悲劇」をどうぞお楽しみください。

『タイタス・アンドロニカス』『女殺油地獄』公演情報
https://www.yamanote-j.org/performance/7207.html

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