稽古場日誌
タイタス・アンドロニカス/女殺油地獄 佐藤 拓之 2015/09/28
悲劇とは?
多くは主人公となる人物の行為が破滅的結果に帰着する筋を持つ。Wikipediaより抜粋です。
人の不幸。他人が不幸になるのは、淫靡な喜びがありますよね。
「男はつらいよ」
あの映画は、他人からみたら喜劇だけど、寅さんにしてみりゃ悲劇ですよね(映画は純粋な喜劇ではないけれど)
毎回好きな人ができても成就はしない。
悲劇は喜劇。
でも人が死ぬとなると別ですね。
悲劇は悲劇。
9月19日。この文章を書いている日に安全保障関連法安(安保法案)が可決されました。
法案の賛否は人それぞれですから、横に置いておきます。
悲劇だと思ったのは、国会での法案成立までの過程です。
喧嘩下手。
日本人は意見の異なる人との対話が下手ですね。
対話の訓練、学習が重要視されていない。
小さい頃から、「察する」ことが重要視され、言葉での対話の習熟がなされない。
和を乱すな。和を乱すな。
今後必要となる対話力。
「人はそれぞれ違う」
人はそれぞれ違う背景をかかえている。
察することは難しい。
話しを尽くす。それしか術はない。
海外に行くと感じることです。
アジアでもヨーロッパでも、肌の色や言語。
そして宗教。
違うのがあたりまえ、だから言葉を尽くして、確認する必要がある。
日本は特殊な国です。
単一民族であり(実際には様々なマイノリティーが住んでますが)
ほとんどの場所でみんなが日本語を使用し、そして理解する。
特殊な国だからこそ生まれる弊害もあります。
それが今回の国会ではないでしょうか。
ぶつかることが目的ではないのです。
違う意見があり、それを屈託無く話せる環境。
導かれる結論は、最良ではないかもしれない。
だからこそ議論を尽くす必要があるのだと思います。
今後は日本において必要になるであろう「対話力」
劇団を煽ろう。扇動せよ。
違う意見。屈託無く話せる環境。
自問自答。ただ煽っても意味がない。
面白くするために必要なことはなんだ。
想像する。
「察して」できた作品。
悲劇だ。
違う意見がぶつかる環境で生まれる作品は面白いに違いない。
タイタス・アンドロニカス と 女殺油地獄。
佐藤拓之
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『タイタス・アンドロニカス』『女殺油地獄』、両作品が「悲劇」であることにちなんで、「私と悲劇」をテーマにした稽古場日誌を連載中です。
それぞれの生活感あふれる「悲劇」をどうぞお楽しみください。
『タイタス・アンドロニカス』『女殺油地獄』公演情報
https://www.yamanote-j.org/performance/7207.html