稽古場日誌
タイタス・アンドロニカス/女殺油地獄 鯉渕 翼 2015/09/29
戯曲を読んだり、演劇について調べたり、日常生活を送っていても世の中本当に様々な悲劇があると思います。
その中で私が面白いと思う悲劇は、
現実、フィクションを問わず小さな出来事が、
出来るだけ沢山の人々を
出来るだけ長時間
出来るだけ大きく致命的な事態に巻き込む、ドミノ倒しのようなものです。
今回の公演「タイタス・アンドロニカス」は、その点では自分好みの作品です。冒頭、ローマの凱旋パレードからすでに悲劇は始まっていて、紆余曲折あって最終的には登場人物の大半がひどい目に遭い死亡する、とんでもない物語です。その崩壊っぷりは、悲劇のピタゴラ装置を見ているかのように鮮やかです。
最近、ふと自分も既に取り返しのつかない悲劇に巻き込まれているのではと、怖いようなワクワクするような毎日を送っています。是非劇場にこの最高の悲劇を観に、そして自分が知らず知らずの内に悲劇の渦中にいないか確かめに来てください。
鯉渕翼
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『タイタス・アンドロニカス』『女殺油地獄』、両作品が「悲劇」であることにちなんで、「私と悲劇」をテーマにした稽古場日誌を連載中です。
それぞれの生活感あふれる「悲劇」をどうぞお楽しみください。
『タイタス・アンドロニカス』『女殺油地獄』公演情報
https://www.yamanote-j.org/performance/7207.html