稽古場日誌

ワークショップ外部活動 浦 弘毅 2015/10/04

岡山 演技基礎ワークショップ リポート

夏の猛暑から解放され、体調管理が難しい季節となっておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
9月20日に岡山で演劇の基礎訓練+発表会のワークショップを無事に終えることができました。

このワークショップはプロデューサーの米谷陽子さんが発案し、岡山の皆様と演劇について考え、実践するワークショップです。
今年は重要文化財の禁酒会館を発表の場とし、夏目漱石の『こころ』を題材に70分程度の発表会をおこないました。

舞台は禁酒会館全部。客席と舞台という環境ではなく、お客様には会館を移動しながらお芝居を観てもらうそんな作品にしました。

禁酒会館が建てられたのは大正時代。夏目漱石の『こころ』が発表されたのもほぼ同時期でした。この時代、夏目漱石が岡山を訪れたかはわかりませんが、あたかもこの禁酒会館が『こころ』の舞台と錯覚してもらえるようなそんな作品にしたかったということもあり、お客様には禁酒会館の生い立ち、時代背景など館内見学しながら観劇いただきました。お客様の感想の中で松山を岡山と錯覚し、なにか納得していたお客様もいらっしゃいました。
別に騙したかったわけではありません。そのようになにか錯覚し、勘違いが起こることで改めて文学、歴史をいうものを見直していただければ、そこにも《演劇》ができる役割があるのではないだろうか?という私の考えです。ですが、これも一歩間違えればとても恐ろしいことであることは重々承知しているつもりです。歴史をみても国を動かすものとして《演劇》が重要とされていたように。

少しずつではありますが、岡山の地でいろんなことが想像や議論が演劇を通しておこなわれれば、幸いです。今後とも応援いただければと思います。今ワークショップでご参加、ご協力いただきました皆様に心から感謝いたします。

浦 弘毅

稽古場日誌一覧へ