稽古場日誌
もうすぐ初めての通し稽古を控えて、最初の山場を迎えています。
久しぶりのシェイクスピア劇。頭も体もめちゃくちゃ疲れます。男性キャストがメインの『マクベス』を女優7人で演じようという挑戦であることにもよりますが、やはり戯曲から発せられる言葉の豊かさ、熱量が半端ないです。
そして演出の斉木さんの情熱も半端ない。
安田さん演出の際は、俳優たちからの提案をベースに、安田さん自身のコンセプトに沿って様々なシーンのパーツを組み合わせていくような感覚ですが、斉木さんの場合は、すでに自分の中に明確な画があって、一挙手一投足まで注文が入ってきます。そのイメージを俳優たちに伝えることに熱く時間を割きます。
演出家にもいろんなタイプの方がいらっしゃいますが、例えるなら、安田さんは雑誌の編集長のようなタイプ。俳優のアイデアや即興で生まれたものを取り入れながら、全体の方向性を整えていくスタイルです。一方、斉木さんは漫画家のようなタイプ。最初から強いビジョンがあり、それを俳優を通じて具現化しようとします。
面白いのが、斉木さんのひるまなさ。さっき作ったばかりの段取りを「変えたいんだけど」と言うのは日常茶飯事。常により面白い画を模索しています。ただ、その頭の回転が早すぎて、全員が「え!」となり険悪な空気が流れることがあるのですが、まったくひるみません。そして明るい。なぜか変更を拒むほうが負けのような気がしてきます。
今日はマクベス役の中川さんが、斉木さんのとどまることを知らない注文にイライラしているなあと思うタイミングで、斉木さんはよりによって「その台詞、優しくしゃべってみて」とさらにオーダー。当然中川さんは「……!!」となるわけですが、斉木さんはまったく気にしていない。もちろん、斉木さんと中川さんの信頼関係があってのことだと思いますが、火に油を注いでいるとしか思えなくて、もうどんだけお構いなしなんだと、私は隣で笑いそうになりました。
そんな感じで、ひるまない演出、斉木和洋の情熱は絶好調ですが、私たちも負けじと頭と体から湯気を出しつつ、タフな時間を過ごしています。
本番まで残りあとわずか。
劇場でお会いしましょう!
越谷真美
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劇団 山の手事情社 二本立て公演
『オセロー』『マクベス』
日時=2025年2月21日(金)~25日(火)
会場=シアター風姿花伝
詳細は こちら をご覧ください。