稽古場日誌

燦燦と淡淡と研修生 越谷 真美 2016/02/23

さあこれから!

つい最近 3 歳の男の子が 19 歳の暴力団員に暴行され亡くなったというニュースがありました。現場は稽古場からそう遠くない場所です。
あまりに痛ましい犯行内容もさることながら、19 歳にして暴力団員という容疑者のプロフィールが気になって仕方がないです。
多摩川で中学生の男の子が殺害された事件の犯人も 18 、 9 の少年でしたし、最近ほんとにこういう事件多いですよね。
さあこれからって年頃なのに、他人の人生にも自分にも「これから」があることを思い描けなくなっているんじゃないか。
「閉塞感」という言葉は自分が子供の頃からもうよく言われてきましたが、ますます逃げ場のない環境を強いられている子供がどんどん増えているような気がして、やるせない気持ちになります。

回りくどくなりましたが、今年の研修生も若いメンバーが多いんです。
今日も稽古場という閉塞感たっぷりの環境のなかで、思いっきり暴れ叫んでいるのが聞こえてきます。
自分たちの舞台をつくるために。
自分たちのこれからを見つけるために。
なんて前向きで有効なツールなんだろうと思います、演劇。
これはもっと社会に広めるべき文化だと思います、確実に。
すぐ話がそれますが・・・

《ショート・ストーリーズ》とよんでいる寸劇の発表をみました。
「悪いひと」というテーマで創作したネタでした。
面白い発見もあったけど、その日はまだ「悪いひと」が彼らの外側にあるような作品が多かったです。
冒頭にあげた事件が極端だとしても、もしかしたら自分だってそうなりかねないぞって意識を持つのも俳優の仕事ですから。
きついけど、これから正念場なんだろうなと思いました。
山の手事情社の研修生公演を観ると、生きてるっていいなって、すごく素朴に感じると思います。
それって、そういう感覚って、すごく大事なことじゃないですか?
かくいう私も時々迷う不器用人間なので、毎年この時期は楽しみなのです。
彼らが俳優になる瞬間をぜひたくさんの方と共有したい、ご覧いただきたいと思います。

越谷真美

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2015年度研修プログラム修了公演「燦燦と淡淡と」
日程=2016年3月10日(木)〜13日(日)
会場=シアターノルン
詳細はこちらをご覧ください。

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