稽古場日誌

ワークショップ 越谷 真美 2016/03/19

演劇と教育現場の接点についての勉強会 リポート

去る3月5日の土曜日。

主宰の安田雅弘が進行を務め、学校の先生方と演劇と教育現場の接点を探る勉強会を開催しました。
いつもは劇団主催のワークショップでは講師という立場ですが、今回は演劇人として、いっぱしの親として、かつて子供だった人間として、興味津々で参加してまいりました。

学年末の慌ただしい時期だと思いますが、9名の先生方に参加していただきました。
まずは安田から今回の勉強会についての趣旨説明。
以前からおこなっている学校ワークショップで感じていること、欧米では演劇が教育プログラムに取り込まれていること、子供のうちから演劇に親しむ意義についてなど。

安田の話のなかで印象的だったのは、「演劇は人間のどうしようもないところ、だらしのなさを、じっくり見つめてきた芸術である」という点。
今まで私も何回か子供たちとのワークショップに参加してきて、まだ小さいのにやけにお行儀のいい子が多いことに驚くのですが、しかし演劇においては、そのお行儀の良さとか物わかりの良さは面白さを半減させてしまうことも多く、むしろ普段あまり目立たない、問題があるように思われている子供が存在感を発揮することもあります。

常々、子供は子供のペースで生きる時間が、そういう場所が、必要だなあと感じています。
本当、日本のオトナ達はせわしなく生きていますから、そのペースにあわせてばかりいては感情も元気もなくなってしまうよと、自分の子供をみても思います。
芸術って高尚なものじゃない。ダイレクトに伝わる熱にたくさん触れて元気になる。演劇ってそういうツールだと思います。

さて、先生方からも面白いお話が伺えました。

「声の小さい先生のクラスは生徒たちも声が小さいですね。」
びっくりです。先生の影響の大きさたるや。
また、学芸会など学校でお芝居をつくるときに感じる難しさについては、やはり演劇の専門家ではないので、何十人もの生徒をうまく配置するだけで精一杯とのこと。

劇団のワークショップリーダー小笠原が先生方に質問します。
「劇の主役は、先生の言うことをよく聞いて、セリフ覚えの良い、優等生を選んでいませんか?」
一同なんとなく異論のない雰囲気。
「セリフ覚えが良い、ということと、役を演じて魅力的である、ということはイコールではないと思うんです。学芸会は意外な子が輝いたりするからやる価値があるのです。」
先生方の研修に演劇を取り入れることもお勧めしました。

他にも普段は聞けないようなお話もあり、演劇界も一般と比べたら独特な世界ですが、教育現場の世界にもまた特別な不文律があるように感じました。

先生同士、先生と生徒、先生と親たちまで演劇を通して関係を深められる企画の提案もでるなど、段々と話題が深まってきたところで今回はタイムアップとなりました。

演劇と教育現場の接点、これからの展開が楽しみです!

越谷真美

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