稽古場日誌

ワークショップ外部活動 栗田 直輝 2016/09/13

エンゲキを観て演じて楽しもう! リポート

こんにちは。劇団員一年生の栗田直輝です。

先日、稽古場近隣の小学校でおこなったワークショップに初めてお手伝いとして参加してきました。

このワークショップは、3年生以上の子ども達が対象で、池上本門寺にて開催されたキャンドルナイトでの『幸福の王子』を観てもらい、その中の【王子の像】になってワンシーン演じてみよう! というものです。

ですが【王子の像】の役は4人で1人。
全員で息を合わせ、セリフを喋り、動く。
という、わりと難易度が高いものです。

そこでまずお互いに波長を合わせる訓練として、幾つかのゲームで遊んでもらいます。
基本2 人1組でやるゲームで小学3年生~6年生の男女が入り混じっていたのですが、
「じゃあ手をつないでー」
「えー、やだー」
「え、なんで?」
「恥ずかしい」
やっぱりか…
難しいお年頃な彼らには、異性と手をつないだり見つめあったりというのはちょっと恥ずかしいんだろうなぁと思っていましたが…
あれ? 女の子同士のペアもなんかモジモジしてるぞ?
そっと近づいてみると
「どうする?」
「どうしよっか?」
「えー、わかんない」
…もしや、〈人と意識を合わせる〉という事は僕が思っているよりも気恥ずかしくて難しいものなのか?!
しかし、しばらくやってみるとノッてくるもので
「不思議な感じ!」
「なんかぞわぞわするー!」
と、心配とは裏腹にみんなしっかり盛り上がっていました。
「その<ぞわぞわ>が大事なんだよ」
とメインインストラクターの大久保。
なるほど!
普段の生活で喋るタイミングが人と合ってしまう事って多々ありますが、それを意識して相手と息を合わせてやろうとする、ってやっぱり難しいんだなぁ。
『幸福の王子』の稽古でも思っていたんですが、再び小学生に気付かされた瞬間でした。

ひとしきり盛り上がったところでいよいよ本格的に【王子の像】になってもらいます。
台本を読んで、いざ本番!
たった3分程度の練習でまさかオリジナルな要素まで盛り込んで発表してくるなんて。

やっぱり演劇っていうものは自分で「楽しい!」と思う部分がどっかしらにあることで、観た人も楽しんでくれるものなんだな、と再認識しました。
そして、それが共演する人と共有できることで、1人の時で思うよりもとても大きな力になる事も。

僕がワークショップにも携わりたいと思ったのは、山の手事情社で実践する演劇のいろいろな事を、人に伝える事で自分もなにか気付ける事があるのではないか、と思ったためです。
初回のお手伝いで、もしかしたら演劇をするために大事な事の根本かもしれない事に触れられたような気がして、それは大きな収穫でした。

そんなこんなで終わった幸福の王子ワークショップ。
帰り際の彼らの表情も 、心なしかちょっと明るくなったような…?

また来年、6年生だった子とは中学で、5年生までの子とは同じ場所で、再び演劇をやることの楽しさをもっと共有できたらいいなぁ、と思いながら校舎を後にした栗田でした。

栗田直輝

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