稽古場日誌
オイディプス@Tokyo 松永 明子 2017/01/07
作中「父を殺し、母と交わり子をなす」とオイディプスが授けられる神託は、ただの神話なのだろうか。現代の私たちも実は依然として強固な神託に縛られているのではないか。劇団員が自分にとっての神託を語ります。
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あらゆるものは、あらゆるものに対して公平でなくてはならない。
いつの頃からか自らの身体の感覚についてもそう思うようになった。
たとえば左手の人差し指の端でなにかつるりとしたものに触れたとする。
そうしたら、反対の手、つまり右手の人差し指の同じ部位で同じようにつるりとしたものに触れる。
これをしないともぞもぞする。
右側の頭皮がかゆい。頭を掻いてみる。
そのうち、同じように反対側の頭皮もガリガリ掻かないと気持ちが悪い。
放っておいてみようと努めてみるけどダメ。
もぞもぞする!
そのうち全然関係ない背中とか足の甲とかがかゆくなってくる。
そして背中を掻いたら、その反対側も。
左足の甲を掻いたら、その反対側も。
実はこの文章をPCで打っている間も、あらゆる感覚を左右で公平に分かち合わなければならないと身体が訴える。
手のひらのふっくらした部分に冷たい感覚があった、左手の小指にキーが絶妙に当たる。
その一つ一つを反対側にも…
めまいがする。
そして感心もする。
人間っていちどきにこんなにいろんな感覚を感じるのか!
どうしたらいいの?
とりあえずお風呂に入って全身ボディクリームでも塗ろうかな。
そうしたらすこしはもぞもぞすることが減るのかな。
整体にも行こうかな。身体が歪んでるのかもな。
そういえば、右に首をひねると音がなるのに、左に捻っても音が鳴らないぞ。
でもなぜか利き手でお箸持ったり、ペン持ったりしてる時は、絶対左右対称じゃなくちゃダメだ、もぞもぞしちゃうぞ! 現象は起きないのだ。
なんでだろお~~~~????
けっこういい加減だなあ、わたしのシンメトリー願望。
ああ、気になる気になる、アシンメトリーな感覚。
わたしを自由にして、シンメトリー願望!
今日ももぞもぞするぞ。
松永明子
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若手公演「オイディプス@Tokyo」
2017年2月23日(木)~26日(日)
すみだパークスタジオ倉
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