稽古場日誌
オイディプス@Tokyo 倉品 淳子 2017/01/16
作中「父を殺し、母と交わり子をなす」とオイディプスが授けられる神託は、ただの神話なのだろうか。現代の私たちも実は依然として強固な神託に縛られているのではないか。劇団員が自分にとっての神託を語ります。
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私の演出作品には、母親との関係を描くものがすごく多いんですね。
そんでもって、私は10年くらい前から、母親くらいの女性とのワークショップを頻繁に行っています。
それは、なぜか。
私の母親がそれはそれは恐ろしい人物だからです。
もう、50になろうってえのに、母親にかけられた呪いから脱することができずにいます。怖いですね~~~。
たくさんの呪いの言葉があるんですけどね。
一例をご紹介しましょう。
それは、高校受験に失敗し、部屋にこもり落ち込んでいた時、おもむろにドアが開き、母が覗いています。
何をいうかと思えば「じゅんちゃん、あなたは落伍者なのよ。これからも一生、ずーっと落伍者なのよ。」…
ひえーーーーー!
まだ、勝ち組、負け組なんていう言葉もなかった80年代。
たった15歳の女の子にかける母親の言葉ですか? これが!! こわい! 怖すぎる!
それからの人生で、失敗したり、落選したりするたびにこの言葉を思い出します。
でも…この人がいなかったら、今の私の表現衝動は起きなかったんだろうなあ。
そう思うと、まあ、この人を含めて私なんだねえ。
私は、母親にはなれなかったけれど、若い人に影響力のある立場でモノを言う時があります。
母のように呪いをかけないようにしようと思う今日このごろです。
倉品淳子
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若手公演「オイディプス@Tokyo」
2017年2月23日(木)~26日(日)
すみだパークスタジオ倉
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