稽古場日誌

Anniversary 中川 佐織 2017/03/13

最高の日に

今年の研修生の高島領也について紹介を、と言われ考えてみる。
声が耳に残る。特徴的な声質をしている。
滑舌はすこぶる悪い。

……あれ?
背が高く、顔つきも良いはずなんだか、眼つきが凄く悪い。

……残念。
話しかけると、やや顎が先にでる。なぜ?
謙虚なようで、もっと大きな笑いを取ることを本人は求めている。
生意気な奴だが、もっと出せばいい。
物事に興味が無いようで、意外と真面目に考えている。
むっつりなんでしょう。
トータルすると、志村けんなのか。なるほど。
……いやいや、冗談はさておき。

話は変わるが、研修生公演は《山の手メソッド》で鍛えた一年間の成果を観てもらうためだけの公演ではない。
人間が変わる瞬間、生まれる瞬間を観てもらう公演でもある。
数分前までは目が全然いかなかったのに、次の瞬間目を奪われる、なんてことはあって、それがいつなのか本当に読めない。
演出家がどんなに設えたって、全然目がいかない場合もある。
どんどん萎んでいく奴だっている。ハラハラどきどきする。

窯の中の陶器のようだ。
900度の火の中で、土から陶器に変質するものもあれば、割れるものもある。
割れないようにするには、俳優自身が自分の信念に対してそれを曲げない約束をする。
それを守る他にどうしようも無いと思う。

高島領也は、どんな約束をしているのか?
それがお客様の目にも見えるような芝居にする為に、今まさに窯の中で焼かれているのだろう。
君の眼つきが輝き、生意気さが爆発することを願い。
『Anniversary』という記念日を、最高の日に勝手にしちゃえば良いと思う。

中川佐織

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2016年度研修プログラム修了公演「Anniversary」
日程:2017年3月23日(木)~26日
会場:シアターノルン
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2017年度研修プログラム「俳優になるための年間ワークショップ」
オーディション開催中
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■年間ワークショップ参加者体験談
■年間ワークショップカリキュラム

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