稽古場日誌

Anniversary 斉木 和洋 2017/03/23

変態たちのうたげ

演劇の効能のひとつは、世間的に間違っているとされていることを最大限に肯定することだと思う。
変態、犯罪者、オタク、メンヘラ、キチガイ、などなど種種雑多な常軌を逸した人たちやものごと。

例えば、2000年以上前にギリシャで書かれた『オイディプス王』という作品に出てくる主人公オイディプス。
そうとは知らずに実の母と交わり、実の父を殺した男。
「あちゃあ、やってもうた。おっとはん殺してもうたし、おっかはんと結婚してもうた、子供も作ってもうたー」
その事実に気づき、自らの目をえぐった男オイディプス。
「かなわんなー、もー、えーい、もう何もみたくないわーい」

演劇というのは、そういうどうしようもないやつを描いているのである。

『Anniversary』も人間のダークサイドを徹底的に肯定した作品なのだろう、きっと。
だって、演劇だし、山の手事情社のお芝居だし。
逆にメルヘンな世界が繰り広げられていたり、まっすぐな思いがぶつかりあう、ちょっとおセンチな青春芝居だったら、びびる。
ちょっと見てみたい気もするが。

今回は、音響としてこの公演に関わっているので、少し稽古を見ているが、直球を投げていると思わせつつも、ぐずぐずな奴とか、ええ感じのワルとか、うっとおしい奴とか、不器用で笑える奴とか、キレ者の風貌なヌケ者とか、個性のきつい奴が揃ってまっせ。
本番が近づくにつれ、作品は少しづつよくなってきています。
ぜひ、みなさま会場でこの変態たちを目撃してください。

斉木和洋

 

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2016年度研修プログラム修了公演「Anniversary」
日程:2017年3月23日(木)~26日
会場:シアターノルン
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2017年度研修プログラム「俳優になるための年間ワークショップ」
オーディション開催中
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■年間ワークショップ参加者体験談
■年間ワークショップカリキュラム

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