稽古場日誌

傾城反魂香 安部 みはる 2017/09/03

反魂香の思い出

私が『傾城反魂香』の舞台にかかわるのは今年で4度目だ。
1度目は2007年、研修生だった時。
赤坂Red Theaterで「YAMANOTE NIPPON」という3本立て公演の1本が『傾城反魂香』だった。
毎日、狭い舞台袖の通路で衣裳にアイロンをかけていたっけ。
客席に空きがあるときは研修生も入って観劇することが出来、主人公のみやが消えていくところで毎回泣いた。

2回目は2011年のルーマニアツアー。スタッフとして同行した。
とにかく、海外公演の舞台に立てなかったことが悔しかったが、海外の演劇を浴びるように見ることが出来、いい経験になった。
当時の稽古場日誌はこちら→https://www.yamanote-j.org/keikoba/index.php?catid=32&blogid=1&&&page=4
この時も舞台袖から上演を見て、みやが消えるところで毎回泣いた。

3回目はルーマニア公演を終えて、同年秋の凱旋2本立て公演、劇場はアサヒアートスクエア。
この時、やっと出演がかなったのである。
歌舞伎でも有名な「吃又」のシーンで、私の演じていた奥方が又平をしかりつけたその時、客席から「よ! 早大劇研!!」という掛け声がかかり、非常に動揺したが、本当に楽しんで見てくださっている方がいるという実感を得ることが出来た。
みやが消えるところで泣いたのは言うまでもない。

そして今回。
下丸子×演劇ぷろじぇくとの2年目、来年の『仮名手本忠臣蔵』に向けた大田区での上演ということで、一同気合十分。
何度上演しても色あせない不思議な作品。原作の力もさることながら、山の手事情社の《四畳半》というスタイルとなじみがよく、歌舞伎作品でありながら非常に見やすい現代的な作品になっている。

ぜひ、たくさんの方にご覧いただきたい!!

安部みはる

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『傾城反魂香』
2017年10月13日(金)~15日(日)
大田区民プラザ 大ホール
公演情報はこちらをご覧ください。
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