稽古場日誌

外部活動 斉木 和洋 2017/09/26

えずこシアター「ほぼ、夏の夜の夢」リポート/キャバレー「ジャングル」

物語の舞台をどこの場所に設定するか? というのは、演出家にとってけっこう重要な問題なのである。
今回の芝居は、シェイクスピアが書いた喜劇「夏の夜の夢」がベースになっている。
もともとの原作では、アテネにある城の御前と森が舞台である。
演出家はこの森を何かに置き換えるのだが、映画の場合、あまりこういった置換えはされなくて、時代考証をして忠実なセットが作られたり、当時の場所を思わせるところを探して撮影したりする。
演劇の場合、何でこんな置き換えがされるのかと言えば、舞台を何かに置き換えることによって、大昔に書かれた物語が、ぼくたちの現在の生活や感覚に通じていることを実感できるからなのである。
もしくは、実感して欲しいと願うのである。
ファンタジーを見ているわくわく感だけじゃなくて、観ているお客様にはひりひりして欲しいのである。
観ている人の痛いところを突きたいのだ、演出家は。

さて、今回の「ほぼ、夏の夜の夢」で演出・倉品が設定した場所はキャバレーである。
舞台には、真っ赤なソファーが3つ並べられ、舞台の最背面には、きらびやかなテープがのれんのように一面に吊られている。
それは、キャバレーの壁のようでもあり、また、そのテープの後ろを通る俳優の姿も見えるので、場面によっては森のようにも見える。
音響は、紆余曲折のすえ、ジャングルを全面に押し出すことになる。
客入れでは、LMFAOの「Sorry For Party Rocking」がけっこうな音量で延々と流れるなか、動物たちが1分ごとに鳴きわめく。
なんかわくわくするぞ。
狼の遠吠えから暗転し、心臓の鼓動が鳴り響き、ユーミンの「真夏の夜の夢」がカットインする。
さあ、ショーの始まりだ。
かけている効果音はジャングル系だが、都会の喧騒やひといきれや東京でいったら渋谷や新宿の街並みや、ここの地元でいったら国分町などを想像して欲しいのだ。

今回引き受けた仕事は、舞台監督と音響と演出助手を兼ねるという無茶ぶりな仕事ながらも、えずこシアターの俳優さんたちの元気な演技や、眠ることを忘れた演出・倉品のタフネスぶりや、えずこホールのスタッフの手厚いサポートや、ざっきーさんの細かい照明や、銀糸さんの素敵な衣装や、そして、公演を観に来てくださったお客様方の笑顔もあって、たいへん楽しい現場でした。
舞台を手伝ってくれたあんパパも、音響のオペレーションをやってくださった美鈴さんもね。
みなさんに多謝。

斉木和洋

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