稽古場日誌

ぺとりこおる 研修生 2018/02/19

沸騰する、古きあの日

現在、研修プログラム修了公演『ぺとりこおる』に向けて絶賛稽古中です。
公演のテーマは「熱中したこと」「忘れていたこと」です。
どんな作品になるのか、ご期待下さい。
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昔、私の従姉妹がインコを飼っていました。
従姉妹の肩に乗っている姿が可愛らしかったのを覚えています。
それに、籠から出して飛ばせても手を叩くと戻ってきて指に留まるのです。
この、懐いているなぁという感じがたまりませんでした。
しかしある日、信じられない事件が起きます。
従姉妹の友達が、インコの羽をハサミで切ってしまったのです。
切られた羽を見せてもらった時、痛々しくて言葉が出ませんでした。
それ以来、気の毒なことに籠から出して飛ばせると、飛び方が斜めに傾いている上、すぐ壁にぶつかるのです。
どこまで不自由なんだ。そう思いました。

今回の研修生修了公演は、作品の中に夏目漱石の短編小説、「文鳥」が取り入れられています。
だから私は、毎日稽古であのインコのことを思い出します。そして踊るのです。

従姉妹は今、動物の看護師をやっています。
昔から動物を愛して止まない子でした。
あの日の、突然の熱中を覚えているのだろうか。
まぁ、大きな事件だったから、忘れるわけないだろう。
そう思いますが、正直忘れていてもおかしくないほど昔ですし、私たちの人生の中の、ほんの数ミリの思い出と言っていいほど小さな小鳥です。
そして人生は幅広く、次々に新たな人と出会い、新たなことを経験します。
その中で私たちは、熱中に熱中を上書きし、古い熱中はいつしかウソのように冷めている。
今この瞬間も、もしかしたらホコリを被る時がきてしまうのかもしれません。
そして何かの拍子にふと思い出すものです。

みなさんの古き熱中を、もう一度沸騰させてしまう、そんな公演になるのではと思っております。
私たちと一緒に思い出して、熱くなってみませんか。
会場でお待ちしております。

喜多 京香

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2017年度研修プログラム修了公演「ぺとりこおる」
日程:2018年2月21日(水)~25日(日)
会場:大森山王FOREST
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2018年度研修プログラム「俳優になるための年間ワークショップ」
オーディション開催中
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